家族になった来栖くんと。
「ありがとね。ほんと助かった」
「いっ、いえ!こちらこそすみませんでした…」
「もういいって。つぎ謝ったらお仕置き」
不思議なワードが飛び出したものの、もう会うことはないため苦笑いでスルーする。
駅まで送って、後腐れのないようペコリとお辞儀をして。
帰宅すると、すでに来栖くんは何事もなかったようにリビングにいた。
「あらおかえり、つぐみちゃん」
「た、ただいま…です」
涼さんに挨拶を返して、手を洗いに向かう。
まあ、それもそうだよね。
来栖くんはファミレスで私に気づいていなかった。
「遅くね、だいぶ」
と、夕飯を待っているリビングでポツリ。
それが来栖くんのものだとは思わず数秒間だけ見つめてしまった。
「そ、そうかな…?」
「どこ……いや、なんでもない」
もしあなたが今、私に「どこ行ってたの」と聞こうとしていたならば、先回りして私がこう聞きたい。
だれと会っていたの、と。
お互いにそんなこと聞く資格も答える資格もないのに笑っちゃうよ。
どうしてあの子と。
どうして、なんで、あの頃も。
私たちってほんとうに、悲しいくらい、なんにも変わってないんだね───。