家族になった来栖くんと。
単純に謝罪の気持ちだ。
両手が塞がっているようだし、よく見ると片方の紙袋を汚してしまった。
昨日は雨が降っていたから、地面が湿っていたんだ。
たぶん予算的にも弁償だけはできそうにないもん…。
「じゃー、お願いしちゃおっかな」
「はい…!よろこんで!」
「あははっ。喜んでくれるんだ?」
「…はい。私にできることがあれば…」
覗き込まれて、つい顔を隠す。
だって荷物持ちで許されるなら嬉しい限りだ。
見るからに高そうな紙袋で、コスメやバッグもプチプラではなさそう。
「じゃあまだ、この街にきて1ヵ月なんですね…!」
「そうそう。だから迷っちゃって。でも、ちょうどいい子に出会えてラッキーだったよ」
聞くところによると、彼は引っ越してきたばかりなのだと。
きっと春から大学生で、新生活を始める準備をしていたのだろう。
意外と会話が盛り上がったのは、私たちのフィーリングが合ったのではなく。
彼の気さくさが自然と運んでいってくれたのだ。