家族になった来栖くんと。
「せっかく窓際取れたのに、譲っちゃうなんて勿体ないよ」
そこだけが惜しいと思っていた部分を、簡単に言葉にして出してしまえる転校生。
まさに私が我慢して妥協しようとしていたところだった。
前後のクラスメイトともちょうどいい背丈感で、常に窓からグラウンドが見える特等席。
「白山ちゃんはどーしたい?決めるのは白山ちゃんだよ」
覚えてもらうどころか2回も呼ばれた名前。
その言い方、すっごくズルい……。
最終的に私に委ねられると、須和くんがそう言ってくれたからと甘える形を作ることは確かにできる。
けれど、“だから選んだ”に対する女子たちの誤解だらけの解釈が……怖いの。
「こ、ここの席…私も気に入ってる、ので。ごめんなさい…」
せっかく自分の気持ちをクラスメイト全員の前で初めて言えたというのに。
この日から、寧々ちゃん以外の女子たちから冷たい目を送られるようになった。