氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
クリスタの問いかけにリーゼロッテは困ったような顔をした。
「これ以上望んだら、ばちが当たりそうですわ」
リーゼロッテのそんな答えに、ジルケはクリスタと目を合わせてから、呆れたように大仰に頭を振って見せた。
「ところでジルケ伯母様……最近、アンネマリーの様子はいかがですか……?」
王城を辞す前に会ったとき以来、アンネマリーとは顔を合わせていない。リーゼロッテが領地へと戻ったあと、程なくしてアンネマリーも王妃の離宮からクラッセン領へと帰ったらしい。
リーゼロッテの誕生日には、贈り物と祝いに行けないことの謝罪の手紙がダーミッシュ領に届けられた。その後はあたりさわりのない手紙を交わす程度だ。
(アンネマリーと王子殿下のこと……わたしの口から伯母様に言うわけにはいかないけど……)
王妃の離宮で会ったアンネマリーはまるで元気がなかった。手紙には特に変わりはないとしか書かれていなかったが、いつもの彼女らしくないあの日の様子がずっと気にかかっている。
リーゼロッテの問いに、明るい表情から一転してジルケは神妙な顔つきになった。
「王城から帰ってきてから、あの子ったらため息ばかりで……何を言っても生返事だし、部屋に閉じこもってどこへも出かけようとしないのよ……。今日も一緒に行こうと誘ったのだけれど、体調がよくないと断られてしまったの」
王城滞在から戻ってきた娘の変わりように、ジルケはとても驚いた。少なくとも途中で一度領地へと帰ってきたときには、そんなそぶりはまったくなかったし、むしろアンネマリーは王城での生活に浮かれている様子だった。
王城で何かがあったのは明白だが、ジルケは娘を問い詰めるようなことはしていない。何か大きな問題があれば、王家から連絡が来るだろう。特にそのようなことは何もなかった。
「リーゼロッテ……よかったら一度、アンネマリーに会いに行ってやってくれないかしら……」
リーゼロッテに王城での様子を聞くこともできたが、ジルケはそうとだけ口にした。
「ええ、もちろんですわ! お義母様、いいですわよね?」
「そうね、お父様にお願いしてみましょう」
顔を見て安心したい。クリスタの言葉に、リーゼロッテは深く頷いた。
「これ以上望んだら、ばちが当たりそうですわ」
リーゼロッテのそんな答えに、ジルケはクリスタと目を合わせてから、呆れたように大仰に頭を振って見せた。
「ところでジルケ伯母様……最近、アンネマリーの様子はいかがですか……?」
王城を辞す前に会ったとき以来、アンネマリーとは顔を合わせていない。リーゼロッテが領地へと戻ったあと、程なくしてアンネマリーも王妃の離宮からクラッセン領へと帰ったらしい。
リーゼロッテの誕生日には、贈り物と祝いに行けないことの謝罪の手紙がダーミッシュ領に届けられた。その後はあたりさわりのない手紙を交わす程度だ。
(アンネマリーと王子殿下のこと……わたしの口から伯母様に言うわけにはいかないけど……)
王妃の離宮で会ったアンネマリーはまるで元気がなかった。手紙には特に変わりはないとしか書かれていなかったが、いつもの彼女らしくないあの日の様子がずっと気にかかっている。
リーゼロッテの問いに、明るい表情から一転してジルケは神妙な顔つきになった。
「王城から帰ってきてから、あの子ったらため息ばかりで……何を言っても生返事だし、部屋に閉じこもってどこへも出かけようとしないのよ……。今日も一緒に行こうと誘ったのだけれど、体調がよくないと断られてしまったの」
王城滞在から戻ってきた娘の変わりように、ジルケはとても驚いた。少なくとも途中で一度領地へと帰ってきたときには、そんなそぶりはまったくなかったし、むしろアンネマリーは王城での生活に浮かれている様子だった。
王城で何かがあったのは明白だが、ジルケは娘を問い詰めるようなことはしていない。何か大きな問題があれば、王家から連絡が来るだろう。特にそのようなことは何もなかった。
「リーゼロッテ……よかったら一度、アンネマリーに会いに行ってやってくれないかしら……」
リーゼロッテに王城での様子を聞くこともできたが、ジルケはそうとだけ口にした。
「ええ、もちろんですわ! お義母様、いいですわよね?」
「そうね、お父様にお願いしてみましょう」
顔を見て安心したい。クリスタの言葉に、リーゼロッテは深く頷いた。