氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
「リーゼロッテ、さあ、これを開けてごらん?」
「まあ、何かしら?」
ジークヴァルトに差し出された箱を、期待に満ちた目で開けるリーゼロッテ。箱を開けてみるなりその瞳を輝かせる。
「まあぁステキ! これは?」
「わたしからのプレゼントだ。さあ、つけてあげよう。背中を向けて?」
背を向けたリーゼロッテに背後からオクタヴィアの瞳をつけるジークヴァルト。その小さな肩に手を置き、リーゼロッテを鏡越しにのぞき込む。
「ああ、誰よりも似合っている。綺麗だよ、リーゼロッテ」
「ジークヴァルト様……大好きっ」
ひしっ。
「……と、おふたりは抱きしめ合って、永遠の愛を再確認するはずだったのに!」
「んな展開になるわけないでしょ」
若干涙目のマテアスに、アデライーデはあきれたまなざしを返した。
先ほどのリーゼロッテの反応を見るからに、ジークヴァルトが直接見せたところで、オクタヴィアの瞳を前にリーゼロッテが固まったあと、すまなそうな顔をするのがおちだろう。
「そんなことはわかっておりますよ! ささやかな夢を見るくらい、許されてもいいではないですか!」
ハンカチを取り出して目に当てているマテアスは、どことなく父親のエッカルトに似ている。リーゼロッテはそう思って、マテアスの顔を慰めるようにのぞき込んだ。
「マテアス……わたくし、ジークヴァルト様にあとでちゃんとお礼を言うわ……だから泣かないで……ね?」
気づかわし気な上目遣いのリーゼロッテを前にして、マテアスはくっと目頭に手を当てた。
「ですからそのようなお顔は、ぜひとも旦那様に……」
そんなやり取りを前に、ジークヴァルトも甘やかされすぎだと、アデライーデはあきれたように大げさなため息をついた。