氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
◇
「お待ちしておりました、リーゼロッテ様。日に二度も足を運ばせてしまい、申し訳ございません」
満面の笑みでリーゼロッテを迎え、マテアスは部屋の中へとふたりを促した。ベッティは口を開くことなく、部屋の壁際へと移動する。
「旦那様との乗馬はいかがでしたか?」
「ええ、フーゲンベルク領が見渡せて、とても素敵な景色だったわ」
先程、ジークヴァルトとリーゼロッテが乗馬に行くことになったのは、マテアスが強く勧めたからだ。マテアスの中では、ジークヴァルトとリーゼロッテのお近づき計画が、着々と練られている。乗馬を勧めたのもその一環だった。
以前、突発的に参加したピクニックで、ジークヴァルトがリーゼロッテを再び馬に乗せるという約束を取りつけてきたことをマテアスは聞き及んでいた。それを有効に使わない手はない。
オクタヴィアの瞳作戦がアデライーデの手で台無しになったからこそ、マテアスが繰り出した次の一手だった。
「ジークヴァルト様、先程はありがとうございました。約束を覚えていてくださってうれしかったですわ」
リーゼロッテは淑女の礼をとりながら微笑んだ。これからは厚意には素直に応えよう。そんなことを思いながら。
ああ、と言ってジークヴァルトはリーゼロッテに座るように促した。
いつもの定位置のソファに並んで腰かけるふたりを見て、マテアスは満足そうに口角を上げる。
(旦那様がこじらせまくっていたおかげで、ここまで来るのに苦労しましたねぇ)
万感の思いにかられながら、仲良く座るふたりの前に紅茶のカップを置く。
しかし今の状況は、再びスタートラインに立っただけのことだ。リーゼロッテの心をがっちりつかむためには、ジークヴァルトにはもっと頑張ってもらわねばならない。
(とにかく油断は禁物ですね……このおふたりのことですから)
朴念仁の主に純真で鈍すぎる婚約者。周りがどうにかしないと、また思いもよらない方向へ行ってしまいそうだ。
「お待ちしておりました、リーゼロッテ様。日に二度も足を運ばせてしまい、申し訳ございません」
満面の笑みでリーゼロッテを迎え、マテアスは部屋の中へとふたりを促した。ベッティは口を開くことなく、部屋の壁際へと移動する。
「旦那様との乗馬はいかがでしたか?」
「ええ、フーゲンベルク領が見渡せて、とても素敵な景色だったわ」
先程、ジークヴァルトとリーゼロッテが乗馬に行くことになったのは、マテアスが強く勧めたからだ。マテアスの中では、ジークヴァルトとリーゼロッテのお近づき計画が、着々と練られている。乗馬を勧めたのもその一環だった。
以前、突発的に参加したピクニックで、ジークヴァルトがリーゼロッテを再び馬に乗せるという約束を取りつけてきたことをマテアスは聞き及んでいた。それを有効に使わない手はない。
オクタヴィアの瞳作戦がアデライーデの手で台無しになったからこそ、マテアスが繰り出した次の一手だった。
「ジークヴァルト様、先程はありがとうございました。約束を覚えていてくださってうれしかったですわ」
リーゼロッテは淑女の礼をとりながら微笑んだ。これからは厚意には素直に応えよう。そんなことを思いながら。
ああ、と言ってジークヴァルトはリーゼロッテに座るように促した。
いつもの定位置のソファに並んで腰かけるふたりを見て、マテアスは満足そうに口角を上げる。
(旦那様がこじらせまくっていたおかげで、ここまで来るのに苦労しましたねぇ)
万感の思いにかられながら、仲良く座るふたりの前に紅茶のカップを置く。
しかし今の状況は、再びスタートラインに立っただけのことだ。リーゼロッテの心をがっちりつかむためには、ジークヴァルトにはもっと頑張ってもらわねばならない。
(とにかく油断は禁物ですね……このおふたりのことですから)
朴念仁の主に純真で鈍すぎる婚約者。周りがどうにかしないと、また思いもよらない方向へ行ってしまいそうだ。