氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
(まあ、自分が力を扱えなかったのが最大の原因なんだから、ヴァルト様にしてみればとばっちりもいいところよね)

 これから先ずっと、ジークヴァルトとうまくやっていけるだろうか。ふとそんな不安がよぎる。
 今のところは子供扱いを受け入れるにしても、いずれふたりは夫婦となるのだ。果たしてジークヴァルトが自分を女としてみる日がやってくるのか、現時点では想像もつかない。

(逆にわたし自身、ヴァルト様をそんな風に見れるのかしら……?)

 黒いモヤがなくなった今、以前のようにジークヴァルトに対して生理的な嫌悪(けんお)を感じることはない。頭をなでられるのはくすぐったいが心地よく感じるし、抱き上げられるのは恥ずかしいけれど、どこかで安心感も感じてはいる。

(よく、キスができれば大丈夫っていうけど……)

 その相手とキスできるのか、ひいてはエッチができるのか。つきあうにしても結婚するにしても、そこが決め手なのだと、日本で聞いたことがある。

(ジークヴァルト様とわたしが……?)

 正直、あのジークヴァルトが自分に対してキスをしてくる姿など想像できない。ましてやその先の行為(こうい)など、もってのほかだ。ジークヴァルトの触れ方に、性的なものを感じたことは一度もなかった。ジークハルトにされたことはノーカンだ。あれはジークハルトであって、ジークヴァルトではなかったのだから。

(まあ、職務(しょくむ)律儀(りちぎ)なヴァルト様のことだから、子作りも義務と思えばどうにかしてきそうだけど……)

 男は愛がなくともそういう行為ができるときくし、どのみち自分の知識でどうこうできることでもないだろう。

(やだ、わたしってば何考えてるんだか)

 そんなしょうもないことを考えている自分が急に恥ずかしくなって、リーゼロッテは無理やり思考を流れる景色へと追いやった。

< 164 / 684 >

この作品をシェア

pagetop