氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
「……ならばオレが連れて行く」
「わかりました。王城では、できる限りジークヴァルト様がそばにいられる環境を整えます。そのくらいはごり押ししとくんで」
「ああ……たのむ」

 ジークヴァルトは低く答え、再びリーゼロッテをぎゅっと抱きしめた。

「エラ嬢、悪いけど、今回、君は連れていけない。グレーデン家に馬車を出してもらうから、とりあえず、ひとりで公爵家に戻ってくれる?」
「え!? そんな、お嬢様のおそばを離れるだなんてできません!!」

 エラがとんでもないとばかりに首を振った。

「これは命令だよ。リーゼロッテ嬢の安全を確保するためなんだ。リーゼロッテ嬢もわかってるよね? きちんと確認が取れるまで、ジョンのいるフーゲンベルク家に君は帰せない」

 はっとしてリーゼロッテは顔を上げた。次いでエラと目を合わす。
 訪問先の屋敷の窓が割れて、いきなりリーゼロッテを王城に連れて行くという、そんな強引な流れだ。エラにしてみれば、どうしてそんなことになるんだと思わざるを得ないだろう。

「エラ、大丈夫よ。きっと少しの間だけだと思うから……。何かあったらすぐに連絡をするわ。だからエラはカイ様のおっしゃることに従ってちょうだい」
「お嬢様……」

 今にも泣きそうなエラに駆け寄りたいが、ジークヴァルトにがっちりホールドされているため、それもままならない。仕方なくリーゼロッテはエラを安心させるように、にっこりと笑って見せた。

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