氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
「ジークヴァルト様……!?」
困惑するリーゼロッテをよそに、大方ピンを抜き終えると、ジークヴァルトはその髪に指を差し込んで、崩れた髪をするりとほどけさせていく。リーゼロッテの蜂蜜色の長い髪が舞って、ふわりと甘い香りが広がった。
ジークヴァルトは続けて手櫛で髪を梳きながら、同時に指先に力を流していった。
「ひあ」
再び、よくわからない声が口をついた。ジークヴァルトの指が髪をすり抜けるたびに、その力がなぞるようについてくる。
なんだかもう全部がジークヴァルトだ。髪も頬も首筋も、体の表面から身の内側にいたるまで、まるっとジークヴァルトに包まれているような、そんな妙な気分になる。
「あ、あの、ヴァルト様……それはくすぐったいので、その」
「却下だ」
憮然と言ってジークヴァルトは、リーゼロッテへの体へとダメ押しのように自身の力を注いだ。ひあっともう一度言って、リーゼロッテはジークヴァルトの体にしがみついた。
それをしばらく黙って見ていたカイが、ようやく声をかける。その声音はいつも以上に硬いものだ。
「ジークヴァルト様、今回のことは……」
「いい。事情は承知している」
ジークヴァルトは守護者の目を通してすべてを見ていた。その場にいるような臨場感があるのに、リーゼロッテははるか遠く手の届かない場所にいた。
思わずリーゼロッテを抱く手に力が入る。この温もりを失ったら、一体自分はどうなってしまうのか。ジークヴァルトには、もはや想像すらできない。
「でしたら、話は早いです。リーゼロッテ嬢はこのまま王城へ連れて行かせてもらいます。オレは今、王妃殿下の権限で動いていますから。フーゲンベルク公爵と言えど、拒否はさせませんよ」
ジークヴァルトがぐっと言葉を飲み込むのが分かった。
困惑するリーゼロッテをよそに、大方ピンを抜き終えると、ジークヴァルトはその髪に指を差し込んで、崩れた髪をするりとほどけさせていく。リーゼロッテの蜂蜜色の長い髪が舞って、ふわりと甘い香りが広がった。
ジークヴァルトは続けて手櫛で髪を梳きながら、同時に指先に力を流していった。
「ひあ」
再び、よくわからない声が口をついた。ジークヴァルトの指が髪をすり抜けるたびに、その力がなぞるようについてくる。
なんだかもう全部がジークヴァルトだ。髪も頬も首筋も、体の表面から身の内側にいたるまで、まるっとジークヴァルトに包まれているような、そんな妙な気分になる。
「あ、あの、ヴァルト様……それはくすぐったいので、その」
「却下だ」
憮然と言ってジークヴァルトは、リーゼロッテへの体へとダメ押しのように自身の力を注いだ。ひあっともう一度言って、リーゼロッテはジークヴァルトの体にしがみついた。
それをしばらく黙って見ていたカイが、ようやく声をかける。その声音はいつも以上に硬いものだ。
「ジークヴァルト様、今回のことは……」
「いい。事情は承知している」
ジークヴァルトは守護者の目を通してすべてを見ていた。その場にいるような臨場感があるのに、リーゼロッテははるか遠く手の届かない場所にいた。
思わずリーゼロッテを抱く手に力が入る。この温もりを失ったら、一体自分はどうなってしまうのか。ジークヴァルトには、もはや想像すらできない。
「でしたら、話は早いです。リーゼロッテ嬢はこのまま王城へ連れて行かせてもらいます。オレは今、王妃殿下の権限で動いていますから。フーゲンベルク公爵と言えど、拒否はさせませんよ」
ジークヴァルトがぐっと言葉を飲み込むのが分かった。