氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
「……リーゼロッテ嬢」
ハインリヒ王子の震える声がした。カイ以上に蒼白な顔をして、リーゼロッテを見下ろしている。その瞳に映る怯えを読み取って、ジークヴァルトの腕を振りほどき、リーゼロッテは自ら気丈に立ち上がった。
「わたくし怪我はしておりません。ジークヴァルト様と、異形たちが守ってくれましたから」
力強く言うと、ハインリヒは青い顔のまま無言で頷き返してくる。
「王子殿下……先ほどの女の方は一体……」
あの慈愛に満ちたうつくしい女は、ハインリヒ王子の体の内から湧きあがったように見えた。リーゼロッテが問いかけると、ハインリヒはぎゅっとその手を強く握り締めた。
「あれは、わたしの守護者だ」
「王子殿下の守護者……?」
プラチナブロンドにアメジストのような紫の瞳。あの女は、ハインリヒ王子にとてもよく似ていた。
「リーゼロッテ嬢は、アデライーデの傷を知っているだろう?」
突然の問いかけに、リーゼロッテは困惑しつつも頷いた。
「あの傷は、このわたしが負わせたものだ」
感情を押し殺したようなその言葉に、リーゼロッテはただ息を飲む。
「少し、わたしの話を聞いてくれるか?」
そう言ってハインリヒ王子は、過ぎ去った日を思うように、どこか遠くをじっと見つめた。
ハインリヒ王子の震える声がした。カイ以上に蒼白な顔をして、リーゼロッテを見下ろしている。その瞳に映る怯えを読み取って、ジークヴァルトの腕を振りほどき、リーゼロッテは自ら気丈に立ち上がった。
「わたくし怪我はしておりません。ジークヴァルト様と、異形たちが守ってくれましたから」
力強く言うと、ハインリヒは青い顔のまま無言で頷き返してくる。
「王子殿下……先ほどの女の方は一体……」
あの慈愛に満ちたうつくしい女は、ハインリヒ王子の体の内から湧きあがったように見えた。リーゼロッテが問いかけると、ハインリヒはぎゅっとその手を強く握り締めた。
「あれは、わたしの守護者だ」
「王子殿下の守護者……?」
プラチナブロンドにアメジストのような紫の瞳。あの女は、ハインリヒ王子にとてもよく似ていた。
「リーゼロッテ嬢は、アデライーデの傷を知っているだろう?」
突然の問いかけに、リーゼロッテは困惑しつつも頷いた。
「あの傷は、このわたしが負わせたものだ」
感情を押し殺したようなその言葉に、リーゼロッテはただ息を飲む。
「少し、わたしの話を聞いてくれるか?」
そう言ってハインリヒ王子は、過ぎ去った日を思うように、どこか遠くをじっと見つめた。