氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
「ここへはお父様のお供で来ただけよ。王へのご挨拶が終わったら、お父様もここに戻ってくるわ。でも、わたしは今日、王妃様の離宮に泊まることなってるのよ!」
本当にうれしそうにアデライーデは言った。大輪の花が開いたようなその笑顔は、やはり昔のままかわることはない。
狭い後宮でずっと孤独に過ごしてきたハインリヒは、彼女の存在に、ある意味救われていたのだ。その時そんなことを思った。
「クリスティーナ様とテレーズ様にお会いするのは久ぶりだから、本当にうれしくって」
「そうか。姉上たちによろしく言っておいてくれ」
姉弟とはいえ、これからは気軽に会いにも行けなくなる。王族とは面倒なものだと思うが、それは言っても仕方のないことだ。
「ええ、伝えておくわ」
そこで一度会話が途切れ、その場に沈黙が訪れる。
「まだ、託宣の相手がみつからないそうね?」
「ああ」と顔をそらして、手をきつく握りしめた。自分のせいではないと主張したいが、この話題はどうにも自責の念が占拠する。
「大丈夫よ。すべては龍の思し召しなんでしょう? 気にしなくっても、そのうちひょっこり現れるわよ」
あっけらかんとした口調で言われ、ハインリヒはぽかんとしたあと、仕方なさそうに「だといいな」と苦笑を返した。
ハインリヒはこれから主要貴族との会食など、こなさねばならないことがある。しばしの休憩のために、アデライーデと別れて自室へとひとまず向かった。
「あ、ハインリヒ。今日はすごくかっこよかったわよ!」
後ろから悪戯っぽく声をかけられ、ハインリヒは前を向いたままアデライーデに向けて片手を上げた。今、振り向いてしまったら、赤くなったこの顔に気づかれてしまうだろうから。
誤魔化すように、ハインリヒは大急ぎでその場を立ち去った。
本当にうれしそうにアデライーデは言った。大輪の花が開いたようなその笑顔は、やはり昔のままかわることはない。
狭い後宮でずっと孤独に過ごしてきたハインリヒは、彼女の存在に、ある意味救われていたのだ。その時そんなことを思った。
「クリスティーナ様とテレーズ様にお会いするのは久ぶりだから、本当にうれしくって」
「そうか。姉上たちによろしく言っておいてくれ」
姉弟とはいえ、これからは気軽に会いにも行けなくなる。王族とは面倒なものだと思うが、それは言っても仕方のないことだ。
「ええ、伝えておくわ」
そこで一度会話が途切れ、その場に沈黙が訪れる。
「まだ、託宣の相手がみつからないそうね?」
「ああ」と顔をそらして、手をきつく握りしめた。自分のせいではないと主張したいが、この話題はどうにも自責の念が占拠する。
「大丈夫よ。すべては龍の思し召しなんでしょう? 気にしなくっても、そのうちひょっこり現れるわよ」
あっけらかんとした口調で言われ、ハインリヒはぽかんとしたあと、仕方なさそうに「だといいな」と苦笑を返した。
ハインリヒはこれから主要貴族との会食など、こなさねばならないことがある。しばしの休憩のために、アデライーデと別れて自室へとひとまず向かった。
「あ、ハインリヒ。今日はすごくかっこよかったわよ!」
後ろから悪戯っぽく声をかけられ、ハインリヒは前を向いたままアデライーデに向けて片手を上げた。今、振り向いてしまったら、赤くなったこの顔に気づかれてしまうだろうから。
誤魔化すように、ハインリヒは大急ぎでその場を立ち去った。