氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
 カイがリーゼロッテから何かをもらったとなると、ジークヴァルトが嫉妬(しっと)するのは目に見えている。それなのに、不思議そうにこちらを見ているリーゼロッテは相変わらずのようだ。

(リーゼロッテ嬢って、どうしてこんなに鈍いんだろう)
 あのジークヴァルト相手なら、仕方ないのかもしれないが。

(うん……でもまあ、このままの方が絶対におもしろい)
 そう結論づけると、カイはひとりうんうんと頷いた。

「今、部屋まで取りに行ってまいりますので、カイ様はこちらでお待ちいただけますか?」
「なら、オレも一緒に行くよ。公爵家の中も少し見ておきたいし」
「それでは、わたしが部屋までご案内いたしますわ」

 エマニュエルが先導(せんどう)するように歩き出した。

「あ、従者くん、今日はおいしい紅茶をありがとう。次は、ジークヴァルト様がいるときに来るよ」
 マテアスに向かってひらひらと手を振ると、カイはエマニュエルの後を追った。

「……カイ・デルプフェルト……相変わらず、食えないお方ですねぇ……」

 マテアスはその背中を腰を折って見送ったあと、誰にも聞こえないような小さな声でつぶやいた。



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