氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
「何を訳の分からないことを言ってる」
「あ、いえ、すみません。社交界きってのもて男と名高いグレーデン様に興奮してしまって」
「ニコラウス・ブラル……お前、気持ちが悪いな」
「うわっめっちゃ傷ついたっ」
胸を押さえながら本当に傷ついたような顔をしているニコラウスを、エーミールは苛ついたように見やった。
「エーミールでいい。変な名をつけて呼ぶな」
「え? マジっすか? エーミール様って本当に呼んじゃいますよ」
「それでいい。お前、本当に気持ち悪いぞ」
虫けらを見るような目を向けられて、ニコラウスはよろりと一歩下がった。
「その冷たい視線……やっべ、癖になりそう」
その返しにエーミールは呆れるよりほかなかった。その様子にニコラウスも少々やり過ぎたかと内心舌を出す。
「おい、ニコラウス・ブラル」
「オレの事はニコでいいですよ」
それでも気安くなってしまうのは、アデライーデから彼の話を、何度か聞かされているからだと思う。恐らくエーミール自身、他人には知られたくないだろう男のプライドに関わるような話だ。
「ではニコラウスと呼ばせてもらう」
その返事にニコラウスは小さくガッツポーズをした。オレ、あのエーミール・グレーデンと名前で呼び合う仲なんだぜ。この武器を使えば、街に降りた時に女の子からモテモテになるに決まっている。
たれ目と緩んだ頬が相まって、目も当てられなほどだらしがない顔となる。
「お前、果てしなく気持ちが悪い男だな」
「うわっ、三度も言われると果てしなく傷つくんですけどっ」
栗色の髪をがしがしかきむしるニコラウスをしり目に、エーミールはさっさと異形が残した気配へと意識を移した。
「あ、いえ、すみません。社交界きってのもて男と名高いグレーデン様に興奮してしまって」
「ニコラウス・ブラル……お前、気持ちが悪いな」
「うわっめっちゃ傷ついたっ」
胸を押さえながら本当に傷ついたような顔をしているニコラウスを、エーミールは苛ついたように見やった。
「エーミールでいい。変な名をつけて呼ぶな」
「え? マジっすか? エーミール様って本当に呼んじゃいますよ」
「それでいい。お前、本当に気持ち悪いぞ」
虫けらを見るような目を向けられて、ニコラウスはよろりと一歩下がった。
「その冷たい視線……やっべ、癖になりそう」
その返しにエーミールは呆れるよりほかなかった。その様子にニコラウスも少々やり過ぎたかと内心舌を出す。
「おい、ニコラウス・ブラル」
「オレの事はニコでいいですよ」
それでも気安くなってしまうのは、アデライーデから彼の話を、何度か聞かされているからだと思う。恐らくエーミール自身、他人には知られたくないだろう男のプライドに関わるような話だ。
「ではニコラウスと呼ばせてもらう」
その返事にニコラウスは小さくガッツポーズをした。オレ、あのエーミール・グレーデンと名前で呼び合う仲なんだぜ。この武器を使えば、街に降りた時に女の子からモテモテになるに決まっている。
たれ目と緩んだ頬が相まって、目も当てられなほどだらしがない顔となる。
「お前、果てしなく気持ちが悪い男だな」
「うわっ、三度も言われると果てしなく傷つくんですけどっ」
栗色の髪をがしがしかきむしるニコラウスをしり目に、エーミールはさっさと異形が残した気配へと意識を移した。