氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
第24話 石の牢獄
話し終えるまで、エラは口をはさむことなく黙って聞いていた。自分でも荒唐無稽だと思えるような内容だ。それでもエラは、言葉のひとつひとつを聞き逃さないかの様に、最後までじっと耳を傾けてくれていた。
「では、お嬢様が昔からよくお転びになっていたのは、異形の者が原因ということですか?」
深く頷いたリーゼロッテを前に、エラは痛ましい顔をする。
「でも、もう大丈夫なのよ。このジークヴァルト様の守り石があれば、異形たちは寄ってこられないから」
胸の守り石を手に取ると、応えるようにその青がゆらめいた。
「今も異形の者はいるのですか?」
「そう言えば、この部屋ではほとんどみかけないわね。お屋敷の廊下やサロンにはたくさんいるけれど」
部屋の中をきょろきょろと見回すエラに、リーゼロッテも同じように辺りを見回した。公爵家のあてがわれた部屋で、ソファに座って話をしている。人払いをして、今はエラとふたりきりだ。
「わたしにはどうあっても視えないのですね。なんて役立たずなのでしょうか……」
落胆した様子で、エラは悲しそうにため息をついた。
「そんなことはないわ。エラは無知なる者だから」
「無知なる者?」
「お義父様やお義母様、それにルカもそうなのだけれど、無知なる者は異形が悪さをできない人のことを言うの。だからエラが一緒にいてくれるだけで、異形たちは近づいて来ないのよ」
「わたしでもお嬢様のお役に立てるのですか?」
瞳を輝かせるエラに、頷いて笑顔を返す。見つめ合ったまま、リーゼロッテの瞳は次第に潤んでいった。
「こんなおかしな話をしているのに……エラは、わたくしの言葉を信じてくれるのね」
異形が視えるなどと言い出して、気がふれたと思われても仕方のないことだ。だが、エラは疑うことなくすべてを受け入れてくれた。
「お嬢様が嘘をおっしゃるはずはありません。むしろ、お嬢様の苦しみをずっと知らずにいた自分に腹が立っているくらいです」
「ありがとう、エラ」
ほっとしたら涙が溢れて止まらなくなってしまった。リーゼロッテの手を取って、エラも涙ぐんでいる。
「では、お嬢様が昔からよくお転びになっていたのは、異形の者が原因ということですか?」
深く頷いたリーゼロッテを前に、エラは痛ましい顔をする。
「でも、もう大丈夫なのよ。このジークヴァルト様の守り石があれば、異形たちは寄ってこられないから」
胸の守り石を手に取ると、応えるようにその青がゆらめいた。
「今も異形の者はいるのですか?」
「そう言えば、この部屋ではほとんどみかけないわね。お屋敷の廊下やサロンにはたくさんいるけれど」
部屋の中をきょろきょろと見回すエラに、リーゼロッテも同じように辺りを見回した。公爵家のあてがわれた部屋で、ソファに座って話をしている。人払いをして、今はエラとふたりきりだ。
「わたしにはどうあっても視えないのですね。なんて役立たずなのでしょうか……」
落胆した様子で、エラは悲しそうにため息をついた。
「そんなことはないわ。エラは無知なる者だから」
「無知なる者?」
「お義父様やお義母様、それにルカもそうなのだけれど、無知なる者は異形が悪さをできない人のことを言うの。だからエラが一緒にいてくれるだけで、異形たちは近づいて来ないのよ」
「わたしでもお嬢様のお役に立てるのですか?」
瞳を輝かせるエラに、頷いて笑顔を返す。見つめ合ったまま、リーゼロッテの瞳は次第に潤んでいった。
「こんなおかしな話をしているのに……エラは、わたくしの言葉を信じてくれるのね」
異形が視えるなどと言い出して、気がふれたと思われても仕方のないことだ。だが、エラは疑うことなくすべてを受け入れてくれた。
「お嬢様が嘘をおっしゃるはずはありません。むしろ、お嬢様の苦しみをずっと知らずにいた自分に腹が立っているくらいです」
「ありがとう、エラ」
ほっとしたら涙が溢れて止まらなくなってしまった。リーゼロッテの手を取って、エラも涙ぐんでいる。