氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
「あと……わたくしとジークヴァルト様の事なのだけれど」

 この先を話せるかどうかはわからない。龍に目隠しをされるのなら、それはそれで仕方がないと、リーゼロッテはどうにか流れ出る涙を押しとどめた。

「エラはこの婚約は王命だと聞いているでしょう?」

 神妙に頷くエラに、リーゼロッテは意を決したように口を開いた。

「この国は、龍から託宣を賜ることで、平和な世を築いているの。わたくしがジークヴァルト様の相手に選ばれたのも、龍の託宣を受けたからなのよ」
「龍の託宣、でございますか?」
「わたくしの胸に丸いあざがあるでしょう? あれは龍から託宣を賜った(あかし)なの」

 頷き返しながら自身の胸を両手で押さえる。

「生まれつきのあざは龍の祝福と言われているけれど、この託宣の証は龍のあざと呼ぶのだそうよ」

 目隠しされることなく託宣の存在を話すことはできた。そう安堵するも、さすがのエラも目を丸くしている。

「信じられないのも無理はないと思うけれど……」
「それではお嬢様も公爵様も、国の守護神である青龍に選ばれた方ということなのですね」

 感嘆交じりのエラの言葉に、リーゼロッテは少し困ったような顔を返した。

「そうね……そういうことなのでしょうね」

 自分も、ジークヴァルトも、龍によって選ばれた。それがゆえに、どんなにお荷物だろうと、ジークヴァルトはこの自分を放り出すことも叶わない。

「お嬢様……公爵様のことで、何かお悩みがあるのですか?」

 気づかわし気に問うエラに、リーゼロッテは小さくかぶりを振った。

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