氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
「リーゼロッテ様。もしよろしければ久しぶりにお話がしたいと、アデライーデ様がサロンでお待ちです」
「アデライーデ様がお帰りになっているの? すぐにお会いしたいですわ」

 アデライーデと会うのは白の夜会以来だ。リーゼロッテはふたつ返事でアデライーデの元へと向かった。

 エマニュエルに連れられて、エラとベッティと共にサロンへ行くと、そこにはドレス姿のアデライーデにエーミール、それに知らない王城騎士の青年がいた。

「お姉様、ご無沙汰しております」
「リーゼロッテ、あなた、バルバナス様にたいへんな目にあわされたそうね」

 ハグし合ったまま頭を撫でられる。

「いえ、王兄殿下には何も……」

 おとといの騒ぎは、自分が勝手に力を使い果たしてしまっただけだ。むしろジョンに会いに行けたのは、リーゼロッテにしてみれば僥倖(ぎょうこう)だった。バルバナスに呼ばれなかったら、自分は今も王妃の離宮にいたに違いない。

「もう動きまわって大丈夫なの?」
「はい、昨日ゆっくりと休ませていただきました。ジークヴァルト様にも、カークを連れて行けば自由にしていいと言われていますわ」
「そう」

「何すか? ソレは……」

 声の主を見やると、ぽかんと大口を開けた王城騎士がカークを指さして固まっている。

「これは不動のカーク。リーゼロッテの護衛みたいなものよ」
「不動って……めっちゃ動いてるし」

 何と説明すればよいものかと、リーゼロッテが困ったような顔をした。

「ああ、この騎士はニコラウスよ」

 アデライーデに騎士を紹介されて、リーゼロッテは優雅に淑女の礼を取った。

「お初にお目にかかります。リーゼロッテ・ダーミッシュと申します。ニコラウス様は、もしやブラル伯爵様のご血縁の方でいらっしゃいますか……?」

 どこかで見覚えのある見事なたれ目だ。王城の廊下で出会った宰相を思い出し、リーゼロッテは可愛らしく小首をかしげた。

「ふわぉ! うわさのダーミッシュの妖精姫っ!」
「ニコ、あなた、聞かれたことにはちゃんと答えなさいよ」
「あだだだだだだっ!」

 アデライーデがニコラウスの尻肉をぎゅっとつまみ上げた。

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