氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
「アデライーデ、おまっなんてことを……!」
尻をさすりながら涙目のままニコラウスが言うと、横にいたエーミールがいきなり抜き身の剣先を突き付けた。
「貴様! アデライーデ様を呼び捨てにするなど一体どういう了見だ!」
「おわっ」
「やめなさい、エーミール。いいのよ、騎士団でニコは一応わたしの上官の立場なんだから」
アデライーデの言葉に、エーミールがしぶしぶ剣を収めた。一歩飛びのいたニコラウスは、マジで危なかったとつぶやきながら胸に手を当てている。
(ニコラウス様はなんだか賑やかな方ね)
そんなことを思いながらアデライーデの顔を見やる。化粧で薄くはなっているが、右目の上下にかかる傷が目に入った。王子の話を思い出して、リーゼロッテは無意識に瞳を伏せる。
「リーゼロッテ?」
気づかわし気に呼ばれ、リーゼロッテははっと顔を上げた。傷を負った経緯を知ったところで、自分に何ができるわけでもない。以前とかわらずにいるしかないのだ。そう思いなおすと、アデライーデに微笑んだ。
「お姉様は新年を祝う夜会にはお出になられるのですか?」
「今年も欠席の返事を出しているはずよ」
夜会の招待などは、すべてバルバナスに任せてある。今まではそれでかまわないと思っていたが、今後は自分で管理できるようにしなければ。
「どうやって説得しようかしら」
あのバルバナスが素直に頷くはずもない。アデライーデが肩をすくめると、リーゼロッテが不思議そうな顔をした。
「なんでもないのよ。今日は久しぶりにゆっくり話しましょう?」
尻をさすりながら涙目のままニコラウスが言うと、横にいたエーミールがいきなり抜き身の剣先を突き付けた。
「貴様! アデライーデ様を呼び捨てにするなど一体どういう了見だ!」
「おわっ」
「やめなさい、エーミール。いいのよ、騎士団でニコは一応わたしの上官の立場なんだから」
アデライーデの言葉に、エーミールがしぶしぶ剣を収めた。一歩飛びのいたニコラウスは、マジで危なかったとつぶやきながら胸に手を当てている。
(ニコラウス様はなんだか賑やかな方ね)
そんなことを思いながらアデライーデの顔を見やる。化粧で薄くはなっているが、右目の上下にかかる傷が目に入った。王子の話を思い出して、リーゼロッテは無意識に瞳を伏せる。
「リーゼロッテ?」
気づかわし気に呼ばれ、リーゼロッテははっと顔を上げた。傷を負った経緯を知ったところで、自分に何ができるわけでもない。以前とかわらずにいるしかないのだ。そう思いなおすと、アデライーデに微笑んだ。
「お姉様は新年を祝う夜会にはお出になられるのですか?」
「今年も欠席の返事を出しているはずよ」
夜会の招待などは、すべてバルバナスに任せてある。今まではそれでかまわないと思っていたが、今後は自分で管理できるようにしなければ。
「どうやって説得しようかしら」
あのバルバナスが素直に頷くはずもない。アデライーデが肩をすくめると、リーゼロッテが不思議そうな顔をした。
「なんでもないのよ。今日は久しぶりにゆっくり話しましょう?」