氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
◇
(なんだ……?)
王城の廊下で突如感じた重い波動の広がりに、令嬢姿から式典用の騎士服に着替えたカイが辺りを見回した。
(異形たちがざわついている)
リーゼロッテが起こした騒ぎの時とはまた違う、不安を煽られるような空気感だ。
「うわっと」
物陰からいきなり剣を振り上げられて、カイは咄嗟にその人物から距離を取る。振り下ろされた剣は空を切り、先ほどまでカイがいた床を大きくえぐった。
目の前にうつろな瞳をした王城騎士がいる。再び剣を振り上げ、カイへとその剣先を向けた。
(異形に憑かれているのか?)
それを難なく避けて、カイはその騎士の首筋へと手刀を浴びせた。あっさりと倒れるかに見えた騎士が、寸でのところでゆらりと再び立ち上がった。
「ったく、面倒だな」
完全に異形の者に飲まれている様子の騎士は、もはや操り人形のようだ。意識を失ったまま、危うげな足取りでカイへと迫って来る。
騎士の背後へと回る。力を手中に溜めておき、それを叩きつけるように再び手を振り下ろした。騎士がその場に崩れ落ちる。今度こそ気を失ったようだ。騎士が立ち上がる様子はない。
(不穏な空気が広がっている)
カイは急ぎ、夜会の会場へと向かった。
(なんだ……?)
王城の廊下で突如感じた重い波動の広がりに、令嬢姿から式典用の騎士服に着替えたカイが辺りを見回した。
(異形たちがざわついている)
リーゼロッテが起こした騒ぎの時とはまた違う、不安を煽られるような空気感だ。
「うわっと」
物陰からいきなり剣を振り上げられて、カイは咄嗟にその人物から距離を取る。振り下ろされた剣は空を切り、先ほどまでカイがいた床を大きくえぐった。
目の前にうつろな瞳をした王城騎士がいる。再び剣を振り上げ、カイへとその剣先を向けた。
(異形に憑かれているのか?)
それを難なく避けて、カイはその騎士の首筋へと手刀を浴びせた。あっさりと倒れるかに見えた騎士が、寸でのところでゆらりと再び立ち上がった。
「ったく、面倒だな」
完全に異形の者に飲まれている様子の騎士は、もはや操り人形のようだ。意識を失ったまま、危うげな足取りでカイへと迫って来る。
騎士の背後へと回る。力を手中に溜めておき、それを叩きつけるように再び手を振り下ろした。騎士がその場に崩れ落ちる。今度こそ気を失ったようだ。騎士が立ち上がる様子はない。
(不穏な空気が広がっている)
カイは急ぎ、夜会の会場へと向かった。