氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
「やだ、なんか違うもの撒いたのかしら?」
「だから言っただろうが!」
ほのかに硫黄を含んだ温泉水の香りがする。防火水の他に温泉水まで散水された様子だ。
「おあ、あの湯気……源泉の熱湯かぶった人間いたらどうするんだ?」
「仕方ないでしょ。それに狙い通りうまくいったみたいよ」
アデライーデがにやりと笑う。つられるようにニコラウスが遠くの気配を探ると、王城全体でざわついていた異形の者が、次第におとなしくなっていくのが感じられた。
「ほら! わたしの計算通りよ!」
「どうみても偶然の産物だろうがっ」
王城の廊下を急いで渡る。視界が悪い廊下は、温泉水の蒸気で煙った状態だ。その湯煙が王城内をゆっくりと移動していく。その範囲が広がるとともに、異形に憑かれていた者も次々と落ち着きを取り戻していくのが分かった。
不意に剣を手にした貴族が数人、ふたりの前に立ちはだかった。湯煙を前にしても、何者かに操られたかのように禍々しい気を纏っている。
「そう、あなたたちが首謀者の一味ってわけね」
ニコラウスとともに不穏な気を纏う貴族たちと対峙する。
「そいつらも操られているんだ。死なない程度に手加減しろよ」
「分かってるわよ。親玉を吐かせるまでは殺したりはしないわ」
一気に踏み込み、その貴族たちと剣を交えた。リーゼロッテの涙が効いているのか、貴族たちの動きは緩慢だ。しかし倒しても倒してもふらふらと置きあがってくる。
そのいたちごっこに息が上がる。アデライーデもニコラウスもずっと力を使い通しだ。疲弊が激しいのも仕方がなかった。
「うぉら! アデリー、お前こんな所で何やってんだ!」
湯煙の向こうから、猛然とバルバナスが現れた。襲い来る貴族たちには脇目もふらずに、一直線にアデライーデへと向かってくる。
「何って王城の警護に決まってるでしょ! そっちこそ今頃になってやってくるなんて、騎士団総司令の名が聞いてあきれるわ!」
「ああん? オレ様の許可なく危険な目に合うなんざ、いい度胸してんじゃねぇかっ」
言い合いながらも、切りかかる貴族たちをばったばったとなぎ倒す。その絶妙なコンビネーションを前に、ニコラウスは呆れたように肩をすくませた。
「ああ、もう! ほんとめんどくせーふたりだな!」
そう叫びながらも、戦闘のさなかに飛び込んでいく。
バルバナスたち騎士団の登場で、反乱ののろしを上げた貴族は、瞬く間に鎮圧されたのだった。
「だから言っただろうが!」
ほのかに硫黄を含んだ温泉水の香りがする。防火水の他に温泉水まで散水された様子だ。
「おあ、あの湯気……源泉の熱湯かぶった人間いたらどうするんだ?」
「仕方ないでしょ。それに狙い通りうまくいったみたいよ」
アデライーデがにやりと笑う。つられるようにニコラウスが遠くの気配を探ると、王城全体でざわついていた異形の者が、次第におとなしくなっていくのが感じられた。
「ほら! わたしの計算通りよ!」
「どうみても偶然の産物だろうがっ」
王城の廊下を急いで渡る。視界が悪い廊下は、温泉水の蒸気で煙った状態だ。その湯煙が王城内をゆっくりと移動していく。その範囲が広がるとともに、異形に憑かれていた者も次々と落ち着きを取り戻していくのが分かった。
不意に剣を手にした貴族が数人、ふたりの前に立ちはだかった。湯煙を前にしても、何者かに操られたかのように禍々しい気を纏っている。
「そう、あなたたちが首謀者の一味ってわけね」
ニコラウスとともに不穏な気を纏う貴族たちと対峙する。
「そいつらも操られているんだ。死なない程度に手加減しろよ」
「分かってるわよ。親玉を吐かせるまでは殺したりはしないわ」
一気に踏み込み、その貴族たちと剣を交えた。リーゼロッテの涙が効いているのか、貴族たちの動きは緩慢だ。しかし倒しても倒してもふらふらと置きあがってくる。
そのいたちごっこに息が上がる。アデライーデもニコラウスもずっと力を使い通しだ。疲弊が激しいのも仕方がなかった。
「うぉら! アデリー、お前こんな所で何やってんだ!」
湯煙の向こうから、猛然とバルバナスが現れた。襲い来る貴族たちには脇目もふらずに、一直線にアデライーデへと向かってくる。
「何って王城の警護に決まってるでしょ! そっちこそ今頃になってやってくるなんて、騎士団総司令の名が聞いてあきれるわ!」
「ああん? オレ様の許可なく危険な目に合うなんざ、いい度胸してんじゃねぇかっ」
言い合いながらも、切りかかる貴族たちをばったばったとなぎ倒す。その絶妙なコンビネーションを前に、ニコラウスは呆れたように肩をすくませた。
「ああ、もう! ほんとめんどくせーふたりだな!」
そう叫びながらも、戦闘のさなかに飛び込んでいく。
バルバナスたち騎士団の登場で、反乱ののろしを上げた貴族は、瞬く間に鎮圧されたのだった。