氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
見ると握った石から輝きが漏れている。指の間から紫の光の筋をこぼし、磁石のようにそれがどこかへ引っ張られていく。
その力に逆らわずに歩を進める。石が持ち上がり、手を引かれるようにアンネマリーはそれについて行った。石は杯の泉の前で動きを止めた。湧き出る水の波紋に映る紫を、アンネマリーは覗き込むように見た。泉に、自分の姿が映る。
そのとき泉からまばゆい光が放たれた。その光の洪水を前に、アンネマリーは見とれるように立ち尽くす。
まるで噴水の水が踊るように、あふれ出る光の渦は生まれては消え、生まれては消えを繰り返す。それを呆然と見上げていたアンネマリーは、その光が文字を浮かび上がらせていることに気がついた。
少し古めかしい文字が、幾度も幾度も描かれていく。それを目で追いながら、アンネマリーはその文字を読み上げた。
「アンネマリー・クラッセン……汝、イオを冠する王をただひとり癒す者……ルィンの名を受けしこの者、必ずこの地に舞い戻らん……」
その文言が何度も何度も繰り返される。光の洪水はさらに激しくなり、アンネマリーの髪がするりとほどけていった。後頭部が痛いくらいに熱を持つ。思わず手を差し入れて、うなじの少し上あたりをぎゅっと押さえた。
「アンネマリー……!」
不意に名を呼ばれて、アンネマリーは振り返る。なかったはずの扉が開かれ、アンネマリーはその逆光の中に、誰か人影を垣間見た。
その力に逆らわずに歩を進める。石が持ち上がり、手を引かれるようにアンネマリーはそれについて行った。石は杯の泉の前で動きを止めた。湧き出る水の波紋に映る紫を、アンネマリーは覗き込むように見た。泉に、自分の姿が映る。
そのとき泉からまばゆい光が放たれた。その光の洪水を前に、アンネマリーは見とれるように立ち尽くす。
まるで噴水の水が踊るように、あふれ出る光の渦は生まれては消え、生まれては消えを繰り返す。それを呆然と見上げていたアンネマリーは、その光が文字を浮かび上がらせていることに気がついた。
少し古めかしい文字が、幾度も幾度も描かれていく。それを目で追いながら、アンネマリーはその文字を読み上げた。
「アンネマリー・クラッセン……汝、イオを冠する王をただひとり癒す者……ルィンの名を受けしこの者、必ずこの地に舞い戻らん……」
その文言が何度も何度も繰り返される。光の洪水はさらに激しくなり、アンネマリーの髪がするりとほどけていった。後頭部が痛いくらいに熱を持つ。思わず手を差し入れて、うなじの少し上あたりをぎゅっと押さえた。
「アンネマリー……!」
不意に名を呼ばれて、アンネマリーは振り返る。なかったはずの扉が開かれ、アンネマリーはその逆光の中に、誰か人影を垣間見た。