氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
「何のために昼に公務が詰められていると思ってるんです? 少しでもおふたりの時間がとれるように周りも気を使ってるんじゃないですか」
「いや、そんなことを言われてもだな。こんな夜に押しかけて、いきなり押し倒したりできるわけないだろう。アンネマリーに嫌われたら一体どうするんだ! 万が一怖がられたりしたらわたしは……」
先ほど晩餐の席で夢想していたことを思い出す。あんないやらしい想像をしていたことが知れたら、アンネマリーから軽蔑のまなざしで見られてしまうかもしれない。脳裏に浮かぶアンネマリーが蔑むような冷たい視線を向けてくる。
「いや、違うんだ、アンネマリー、あれはただの気の迷いで……! あああ、許してくれ、アンネマリーっ!」
どんな想像をしているのやら、ハインリヒが両手で頭をかきむしりながら悶絶している。
「へたれですか」
やれやれとカイは頭を振った。
「どうせ、行くか行かないかでうだうだと迷っていたんでしょう? 隠し通路は元々そのためにあるんですし、堂々と行ってくればいいじゃないですか」
「堂々と……いや、駄目だ、アンネマリーを怖がらせたくはない」
アンネマリーはテレーズの元にいた時に、隣国の王族に襲われたことがある。ハインリヒはその情報を手に入れていた。テレーズの手の者によってすぐに救い出されたそうだが、その時のアンネマリーの恐怖を思うと、相手の男を探し出して今すぐにでも八つ裂きにしてしまいたい。
「ようやくアンネマリー嬢を手に入れたっていうのに、何うつけてるんですか。いいですか、ハインリヒ様。彼女はとっくに社交界デビューも済んで王太子妃教育だって受けているんですよ? 閨の知識くらい十分あるに決まっているでしょう」
「そうかもしれないが……いや、だがしかし」
「相手が本気で嫌がっているかなんて、見ればすぐわかりますって。嫌がられたらそこでやめればいいんです」
「無責任なことを言うな。もしそれでアンネマリーに嫌われでもしたら一体どうしてくれるんだ」
「嫌がられたときは、誠心誠意謝ってください。それこそ土下座でもなんでもして、謝って謝って謝り倒すんです」
指先を立てて言うカイは妙に説得力がある。
「いや、そんなことを言われてもだな。こんな夜に押しかけて、いきなり押し倒したりできるわけないだろう。アンネマリーに嫌われたら一体どうするんだ! 万が一怖がられたりしたらわたしは……」
先ほど晩餐の席で夢想していたことを思い出す。あんないやらしい想像をしていたことが知れたら、アンネマリーから軽蔑のまなざしで見られてしまうかもしれない。脳裏に浮かぶアンネマリーが蔑むような冷たい視線を向けてくる。
「いや、違うんだ、アンネマリー、あれはただの気の迷いで……! あああ、許してくれ、アンネマリーっ!」
どんな想像をしているのやら、ハインリヒが両手で頭をかきむしりながら悶絶している。
「へたれですか」
やれやれとカイは頭を振った。
「どうせ、行くか行かないかでうだうだと迷っていたんでしょう? 隠し通路は元々そのためにあるんですし、堂々と行ってくればいいじゃないですか」
「堂々と……いや、駄目だ、アンネマリーを怖がらせたくはない」
アンネマリーはテレーズの元にいた時に、隣国の王族に襲われたことがある。ハインリヒはその情報を手に入れていた。テレーズの手の者によってすぐに救い出されたそうだが、その時のアンネマリーの恐怖を思うと、相手の男を探し出して今すぐにでも八つ裂きにしてしまいたい。
「ようやくアンネマリー嬢を手に入れたっていうのに、何うつけてるんですか。いいですか、ハインリヒ様。彼女はとっくに社交界デビューも済んで王太子妃教育だって受けているんですよ? 閨の知識くらい十分あるに決まっているでしょう」
「そうかもしれないが……いや、だがしかし」
「相手が本気で嫌がっているかなんて、見ればすぐわかりますって。嫌がられたらそこでやめればいいんです」
「無責任なことを言うな。もしそれでアンネマリーに嫌われでもしたら一体どうしてくれるんだ」
「嫌がられたときは、誠心誠意謝ってください。それこそ土下座でもなんでもして、謝って謝って謝り倒すんです」
指先を立てて言うカイは妙に説得力がある。