氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
 そして今日、アンネマリーから便りが届いた。
 アンネマリーと弟のハインリヒとの婚約が正式に成立したのだ。諜報員から情報は届いていたが、本人からの報告がなによりうれしい。

 ああ、アンネマリーはこれからめいっぱいしあわせになるのだ。
 これから彼女の肩には、否応なしに王太子妃としての重圧がのしかかってくることだろう。わたしはそばにいてあげることはできないけれど、イジドーラ義母様がついていればきっと大丈夫だ。

 ハインリヒには、公務中はアンネマリーの胸ばかりを注視しないよう手紙を書いて送っておいた。
 祖国に出す手紙は漏れなく内容を検分されるため、わざわざブラオエルシュタイン王家のみに伝わる暗号を用いて書いた。姉として弟へのせめてもの気遣いだ。

 ゲームのスチルでハインリヒの視線は、やたらとヒロインの胸に向かっていたし、ハインリヒがオッパイ星人なのは、現実のこの世界でも折り紙付きだ。ずっと成長を見守ってきた姉が言うのだから、これは絶対に間違いない。

 大好きよ、アンネマリー。
 あなたはわたしの生きる道しるべ。
 ハインリヒに泣かされたら、わたしにすぐ言うのよ。
 その時はハインリヒの恥ずかしい秘密を教えてあげる。

 ただ、ハインリヒのオッパイ愛だけは見逃してほしいわ。
 それだけはもう逃れられない宿命なの。あなたの豊かな胸で受け止めてあげて。

 でもこれからあなたを守るのはずっとハインリヒなのね。
 それがちょっと悔しい。
 ああ、でも、そうね。
 あなたがしあわせなら、わたしはなんだっていいわ。
 遠い異国で、いつだってあなたのしあわせを願ってる。

 そんなポエムを胸のうちで展開していた時、夫たる第三王子がノックもせずにわたしの部屋に入ってきた。椅子に座ったまま目線だけをそちらに向ける。

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