氷の王子と消えた託宣 -龍の託宣2-
 アランシーヌでわたしの目の前に現れた本物のアンネマリーは、亜麻色の髪の天使だった。
 ふわふわのやわらかい髪、たれ気味の瞳はやさしい水色で、その瞳で微笑まれると思わずぎゅっと抱きしめてしまう。

 ふたりで過ごしたのは二年に満たない短い時間だった。それは今までの苦労をすべてチャラにして尚余りある、多大な幸福をわたしに与えてくれた。

 アンネマリー救出イベントもそつなくこなし、わたしが知り得る彼女の危険はすべて回避することができた。
 アンネマリーが帰国した今、会えないことは寂しいけれど、彼女がしあわせになることこそ、転生したわたしの究極の最終目標だ。

 それに夫となった第三王子の生ボイスを毎日聞く生活も悪くない。
 アベル王子はゲーム通り少しばかり短絡的なオレ様王子だったが、素直な性格もまたゲーム通りで……。
 母様直伝の心理操作術をもってすれば、その彼を可愛くしつけることなどこのわたしにはたやすいことだった。


 ここ三年近く、アランシーヌで順調に味方を増やしてきた。アベル王子の子供をこの身に宿し、王子妃の立場も盤石となってきている。

 今の自分の課題は、お腹に宿る小さな命を守り切ること。
 これからはゲームのシナリオにはないことばかりだが、どんな事態に遭遇しようとドンとこいだ。今まで重ねた努力の成果をいかんなく発揮できるというものだ。

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