寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
◇
三度ゆっくりと呼吸をして、ミヒャエルは深い瞑想から目を開けた。
「ラウエンシュタインの小娘は公爵家へと戻ったか……」
新年を祝う夜会以来、紅の女神は姿を現さない。何度乞うても、その声を聞くことは叶わなかった。
(いや、まだ見捨てられたというわけではない)
言い聞かせるように、ミヒャエルは左の拳を握り締めた。あの夜、ラウエンシュタインの忌まわしき力の反撃にあって、負傷した右手はいまだ動かぬままだ。
緑の小娘を今すぐにでも八つ裂きにしてやりたい。だが、フーゲンベルクの厚い盾に守られて、その居場所を探るのが精一杯だった。
(指輪さえ砕けなければ……)
あの指輪と共に、女神から賜った力も失われてしまった。おかげで、フーゲンベルクの青にすら、太刀打ちできない事態に陥っている。
今の状態で、ラウエンシュタインの力に敵うことはないだろう。だが――
「盾を崩すだけなら、やりようはある」
ひとりほくそ笑み、再び目をつぶる。
(いつか、すべてを取り返す)
その日を願ってミヒャエルは、女神の声をただひたすらに待ちつづけた。
三度ゆっくりと呼吸をして、ミヒャエルは深い瞑想から目を開けた。
「ラウエンシュタインの小娘は公爵家へと戻ったか……」
新年を祝う夜会以来、紅の女神は姿を現さない。何度乞うても、その声を聞くことは叶わなかった。
(いや、まだ見捨てられたというわけではない)
言い聞かせるように、ミヒャエルは左の拳を握り締めた。あの夜、ラウエンシュタインの忌まわしき力の反撃にあって、負傷した右手はいまだ動かぬままだ。
緑の小娘を今すぐにでも八つ裂きにしてやりたい。だが、フーゲンベルクの厚い盾に守られて、その居場所を探るのが精一杯だった。
(指輪さえ砕けなければ……)
あの指輪と共に、女神から賜った力も失われてしまった。おかげで、フーゲンベルクの青にすら、太刀打ちできない事態に陥っている。
今の状態で、ラウエンシュタインの力に敵うことはないだろう。だが――
「盾を崩すだけなら、やりようはある」
ひとりほくそ笑み、再び目をつぶる。
(いつか、すべてを取り返す)
その日を願ってミヒャエルは、女神の声をただひたすらに待ちつづけた。