寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
部屋に誰もいなかったら、しばらく廊下でカークとおしゃべりでもしていればいい。リーゼロッテはそのまま廊下へと出た。
「今日はジークヴァルト様のお部屋にいくだけだから大丈夫よ」
あとを着いてこようとするカークを制して微笑みかける。出番がやってきたとばかりに動こうとしていたカークは、ちょっぴり残念そうに壁際で再び背筋を伸ばした。
「カーク、いつもありがとう」
見上げるとカークは、照れたように頬をポリポリと掻いた。
ジークヴァルトの部屋の扉の前まで行くと、リーゼロッテは一度大きく深呼吸をした。大丈夫。ちゃんとうまくやれる。心の中で、そう自分に言い聞かせる。
扉を叩こうとしたとき、部屋の中からマテアスの声が聞こえた。言い争いとまではいかないが、口調から何やら不穏な空気を感じる。扉の前で躊躇して、リーゼロッテはノックしようとしていた手を、胸の前でぎゅっと握りしめた。
「どうしてあなた様は、いつも肝心な所でヘタレますかね。そこで止める必要など、どこにあるというのですか?」
中からはマテアスの声しか聞こえない。だが、内容から察するに、ジークヴァルトも在室しているのだろう。
「ヴァルト様……あなた、いつまで初恋をこじらせているおつもりですか? 本当に往生際の悪い。一体いくつになったんですかあなた様は。子供のようにいつまでたってもウダウダウダウダと」
マテアスの言葉に、リーゼロッテはその瞳を大きく見開いた。
――ジークヴァルトに初恋の人がいる
その事実に、リーゼロッテは頭をガツンと殴られたような衝撃を受けた。しかも、ジークヴァルトは現在進行形でその人が好きなのだ。
「今日はジークヴァルト様のお部屋にいくだけだから大丈夫よ」
あとを着いてこようとするカークを制して微笑みかける。出番がやってきたとばかりに動こうとしていたカークは、ちょっぴり残念そうに壁際で再び背筋を伸ばした。
「カーク、いつもありがとう」
見上げるとカークは、照れたように頬をポリポリと掻いた。
ジークヴァルトの部屋の扉の前まで行くと、リーゼロッテは一度大きく深呼吸をした。大丈夫。ちゃんとうまくやれる。心の中で、そう自分に言い聞かせる。
扉を叩こうとしたとき、部屋の中からマテアスの声が聞こえた。言い争いとまではいかないが、口調から何やら不穏な空気を感じる。扉の前で躊躇して、リーゼロッテはノックしようとしていた手を、胸の前でぎゅっと握りしめた。
「どうしてあなた様は、いつも肝心な所でヘタレますかね。そこで止める必要など、どこにあるというのですか?」
中からはマテアスの声しか聞こえない。だが、内容から察するに、ジークヴァルトも在室しているのだろう。
「ヴァルト様……あなた、いつまで初恋をこじらせているおつもりですか? 本当に往生際の悪い。一体いくつになったんですかあなた様は。子供のようにいつまでたってもウダウダウダウダと」
マテアスの言葉に、リーゼロッテはその瞳を大きく見開いた。
――ジークヴァルトに初恋の人がいる
その事実に、リーゼロッテは頭をガツンと殴られたような衝撃を受けた。しかも、ジークヴァルトは現在進行形でその人が好きなのだ。