寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
◇
「母上! 女性がよろこびそうな贈り物を教えていただけますか?」
「あら、ルカ。ツェツィーリア様への贈り物?」
「はい、手紙だけでは味気ないかと思いまして。できれば見るたびにわたしを思い出してもらえるような、そんなものがいいんです。何かいい知恵があったらお貸ししていただけませんか?」
「そうね……」
クリスタは令嬢時代、姉のジルケと共に亜麻色の髪の姉妹として、社交界ではもてはやされる存在だった。ありとあらゆるものを殿方たちから贈られた経験がある。
「生き物はやめた方がいいわ。いきなりだと世話をするのにも困るから。あと大きすぎる物も駄目ね。昔、趣味の悪い彫刻を贈られて、置き場と処分に本当に苦労したの」
「なるほどです」
「最初は無難に花や流行りのお菓子がいいのではないかしら? 手に入りづらい物なんかは、自分のために頑張ってくれたのかと思うとうれしくなるわ」
「流行りのお菓子ですね。ですがツェツィー様は王都に近いところに住んでいらっしゃいます。食べ慣れている可能性もあるかもしれません」
「それもそうね。ジルケお姉様から隣国の珍しい菓子が届いたら、ルカにいちばんに知らせるわ」
クリスタはほほ笑んでルカの頬を撫でた。
「でもね、やっぱり心のこもったお手紙がいちばんうれしいものよ? 中には贈り物だけ届けてきて、ひとことも添えてくれない方もいらっしゃるから」
「そうですか……」
「ふふ、だったらそうね。香水なんかどうかしら? ダーミッシュ領の特産だし、若い令嬢向けの香りなら、ツェツィーリア様も気に入っていただけるんじゃないかしら?」
クリスタは侍女にふたつほど香水の小瓶を持ってこさせた。
「どう? ルカはどちらが好み?」
左右の手首に振りかけて、順番にルカの鼻先に近づけた。
「母上、わたしはこちらの方がツェツィーリア様にぴったりだと思います!」
ルカが選んだのは柑橘系の爽やかな香水だった。フレッシュな香りが先にきて、ラストノートにはほのかな甘いバニラの香りがやってくる。ツェツィーリアからはいつも甘いお菓子のような香りがする。それを思い出して、ルカはすごく会いたい気持ちになってしまった。
「母上! 女性がよろこびそうな贈り物を教えていただけますか?」
「あら、ルカ。ツェツィーリア様への贈り物?」
「はい、手紙だけでは味気ないかと思いまして。できれば見るたびにわたしを思い出してもらえるような、そんなものがいいんです。何かいい知恵があったらお貸ししていただけませんか?」
「そうね……」
クリスタは令嬢時代、姉のジルケと共に亜麻色の髪の姉妹として、社交界ではもてはやされる存在だった。ありとあらゆるものを殿方たちから贈られた経験がある。
「生き物はやめた方がいいわ。いきなりだと世話をするのにも困るから。あと大きすぎる物も駄目ね。昔、趣味の悪い彫刻を贈られて、置き場と処分に本当に苦労したの」
「なるほどです」
「最初は無難に花や流行りのお菓子がいいのではないかしら? 手に入りづらい物なんかは、自分のために頑張ってくれたのかと思うとうれしくなるわ」
「流行りのお菓子ですね。ですがツェツィー様は王都に近いところに住んでいらっしゃいます。食べ慣れている可能性もあるかもしれません」
「それもそうね。ジルケお姉様から隣国の珍しい菓子が届いたら、ルカにいちばんに知らせるわ」
クリスタはほほ笑んでルカの頬を撫でた。
「でもね、やっぱり心のこもったお手紙がいちばんうれしいものよ? 中には贈り物だけ届けてきて、ひとことも添えてくれない方もいらっしゃるから」
「そうですか……」
「ふふ、だったらそうね。香水なんかどうかしら? ダーミッシュ領の特産だし、若い令嬢向けの香りなら、ツェツィーリア様も気に入っていただけるんじゃないかしら?」
クリスタは侍女にふたつほど香水の小瓶を持ってこさせた。
「どう? ルカはどちらが好み?」
左右の手首に振りかけて、順番にルカの鼻先に近づけた。
「母上、わたしはこちらの方がツェツィーリア様にぴったりだと思います!」
ルカが選んだのは柑橘系の爽やかな香水だった。フレッシュな香りが先にきて、ラストノートにはほのかな甘いバニラの香りがやってくる。ツェツィーリアからはいつも甘いお菓子のような香りがする。それを思い出して、ルカはすごく会いたい気持ちになってしまった。