寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
「それならこのマテアスでよろしければお力をお貸しいたしましょう」
「マテアスが?」
「はい、旦那様ほどではございませんが、わたしの守り石でも小鬼を追い払うくらいはできると思いますので。旦那様にお伺いして、リーゼロッテ様の茶会までにご用意いたしましょう」
「ありがとう、マテアス!」

 その手を取って目を潤ませる。糸目で笑顔を返しながらも、マテアスはやんわりとその手をほどいてきた。

「お安い御用でございます。ですが、わたしもまだ死にたくはありませんので」

 手を握っただけなのに、どんな危険物扱いだ。マテアスの中で自分はどのようになっているのだろうと、リーゼロッテは悲しそうな顔をした。

「いえ、こんな場面を旦那様に見られでもしたら……」
「見られでもしたら?」
「ですから命が危うくなると……」

 言っている意味がまるで理解できない。リーゼロッテは不思議そうに首を傾けた。

「何の話だ?」
 書類に集中していたジークヴァルトがこちらを睨みつけている。

「いえ、リーゼロッテ様とお茶会のご相談をしていただけですよ」
 しれっとマテアスが言うと、ジークヴァルトは納得したように書類へと視線を戻した。

「セーフ」

 小さく漏れでたマテアスの言葉に、リーゼロッテは再びこてんと頭を傾けた。

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