寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
「はぁ……女の子っていいわよね……いるだけで場が華やぐというか、なんか、こう、そこにいてくれてありがとうって、本当にそういう感じよね」
ため息交じりにそう漏らしたリーゼロッテは、いまだに自分の袖を握り締めながらその緑の瞳を潤ませている。
「いえ、そのお言葉、そのままそっくりリーゼロッテ様にお返しして差し上げたいのですが……」
本心からそう言ったマテアスを、リーゼロッテは悲しそうに見上げてきた。掴んでいた袖から手を離し、そっと居住まいを正す。
「……ありがとう、マテアス」
「あの、そこでなぜそのようなお顔をなさるのでしょう?」
「いいの……わたくし、自分の容姿のことは十分に分かっているから……」
悟ったような表情でリーゼロッテは静かに瞳を伏せた。
「え? あの、いえ、リーゼロッテ様は本当にお美しいと使用人一同……」
「そうね、本当にありがとう。……ごめんなさい、マテアスに余計な気を使わせてしまったわね」
分かっているから、もうそれ以上言わなくていい。そんな雰囲気を醸し出されて、マテアスはまるで理解できないといった表情をした。
「遅いわよ、マテアス。どれだけわたくしを待たせるつもりなの?」
ふいに高い声がした。振り向くと、先ほどの美少女がぴょんとソファから飛び降りる。足がつかない高さの分だけ一生懸命さが伝わってくる可愛い動作に、リーゼロッテの胸はきゅんと高鳴った。
「申し訳ございません。先ぶれもなく来ていただいたものですから、こちらとしても最大限の対応をさせていただいているところにございます」
「ヴァルトお兄様はどこ? 今日はお兄様のお誕生日を祝うために来たのよ。早く呼んできなさい」
慇懃無礼に腰を折るマテアスに、ツンと顔をそらしてツェツィーリアはかぶせ気味に言葉を返した。つんな態度がまた愛くるしい。義弟のルカよりも少し年下くらいだろうか。ふたりを並べてみたら、それはそれは可愛らしく、何時間でも愛でていられるに違いない。
そんなことを思っていたリーゼロッテへと、ツェツィーリアが視線を向けてきた。
「マテアス、この方はもしかして……」
「この方はリーゼロッテ・ダーミッシュ伯爵令嬢様、旦那様の婚約者でいらっしゃいます」
「まあ、この方が!」
ため息交じりにそう漏らしたリーゼロッテは、いまだに自分の袖を握り締めながらその緑の瞳を潤ませている。
「いえ、そのお言葉、そのままそっくりリーゼロッテ様にお返しして差し上げたいのですが……」
本心からそう言ったマテアスを、リーゼロッテは悲しそうに見上げてきた。掴んでいた袖から手を離し、そっと居住まいを正す。
「……ありがとう、マテアス」
「あの、そこでなぜそのようなお顔をなさるのでしょう?」
「いいの……わたくし、自分の容姿のことは十分に分かっているから……」
悟ったような表情でリーゼロッテは静かに瞳を伏せた。
「え? あの、いえ、リーゼロッテ様は本当にお美しいと使用人一同……」
「そうね、本当にありがとう。……ごめんなさい、マテアスに余計な気を使わせてしまったわね」
分かっているから、もうそれ以上言わなくていい。そんな雰囲気を醸し出されて、マテアスはまるで理解できないといった表情をした。
「遅いわよ、マテアス。どれだけわたくしを待たせるつもりなの?」
ふいに高い声がした。振り向くと、先ほどの美少女がぴょんとソファから飛び降りる。足がつかない高さの分だけ一生懸命さが伝わってくる可愛い動作に、リーゼロッテの胸はきゅんと高鳴った。
「申し訳ございません。先ぶれもなく来ていただいたものですから、こちらとしても最大限の対応をさせていただいているところにございます」
「ヴァルトお兄様はどこ? 今日はお兄様のお誕生日を祝うために来たのよ。早く呼んできなさい」
慇懃無礼に腰を折るマテアスに、ツンと顔をそらしてツェツィーリアはかぶせ気味に言葉を返した。つんな態度がまた愛くるしい。義弟のルカよりも少し年下くらいだろうか。ふたりを並べてみたら、それはそれは可愛らしく、何時間でも愛でていられるに違いない。
そんなことを思っていたリーゼロッテへと、ツェツィーリアが視線を向けてきた。
「マテアス、この方はもしかして……」
「この方はリーゼロッテ・ダーミッシュ伯爵令嬢様、旦那様の婚約者でいらっしゃいます」
「まあ、この方が!」