寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
「レルナー公爵家のご令嬢ですね。わたしの名を名乗る許可をいただいてもよろしいですか?」
「え、ええ、いいわ。名乗ることを許します」
ツェツィーリアの返答に、少年は惜しげもなく天使の笑みを返してきた。
「わたしの名はルカ。ダーミッシュ伯爵家の長男でございます」
「ルカ・ダーミッシュ? ではあなたはリーゼロッテお姉様の弟なの?」
「はい、姉がいつもお世話になっております」
ルカはまるで騎士の様に、ツェツィーリアに向けて礼を取った。
「いいからもう立ちなさい」
「ではお言葉に甘えまして」
ルカは立ち上がると、すぐさまツェツィーリアの手を取った。
「何かご不安なことでもありましたか?」
すぐ近くで水色の瞳に覗き込まれて、ツェツィーリアは赤くなった顔を誤魔化すように大きな声で答えた。
「べ、別に何もないわ。そんなこと、このわたくしにあるわけないでしょう?」
「わたしの気のせいならいいのです」
「え?」
「いえ、レルナー公爵令嬢様のそのお美しいお顔が、かなしみに沈んでいらしたように見えたので」
「な、な、な……」
顔を赤くして口をパクパクしているツェツィーリアを前に、「ななな?」とルカは不思議そうに首を傾けた。その仕草はどことなくリーゼロッテに似ている。
「ツェツィーよ。親しい者はそう呼ぶわ。わたしもルカと呼ぶからそれでいいでしょう?」
「光栄です、ツェツィー様」
天使の笑みを向けてくるルカに、ツェツィーリアはぶっきら棒に問うた。
「ルカはどうしてこんなところにいるのよ?」
「今日、姉の茶会が開かれると聞いて、内緒で参加しようと公爵家にお邪魔いたしました。もちろん義兄上の許可はいただいております」
「それがどうしてこんなところを歩いていたの?」
「このお屋敷を探検しておりましたところ、たまたまここを通りがかりまして」
「……要するに迷ったのね?」
ツェツィーリアが胡乱気に問うと、ルカは朗らかな笑顔を返した。
「はは、お恥ずかしい話です。ですが、おかげでこんなにもお美しい人に出会うことができました」
真剣に見つめられて、ツェツィーリアは動揺のあまり、ルカから距離を取ろうとした。転びそうになった所を、ルカに抱き留められる。
「え、ええ、いいわ。名乗ることを許します」
ツェツィーリアの返答に、少年は惜しげもなく天使の笑みを返してきた。
「わたしの名はルカ。ダーミッシュ伯爵家の長男でございます」
「ルカ・ダーミッシュ? ではあなたはリーゼロッテお姉様の弟なの?」
「はい、姉がいつもお世話になっております」
ルカはまるで騎士の様に、ツェツィーリアに向けて礼を取った。
「いいからもう立ちなさい」
「ではお言葉に甘えまして」
ルカは立ち上がると、すぐさまツェツィーリアの手を取った。
「何かご不安なことでもありましたか?」
すぐ近くで水色の瞳に覗き込まれて、ツェツィーリアは赤くなった顔を誤魔化すように大きな声で答えた。
「べ、別に何もないわ。そんなこと、このわたくしにあるわけないでしょう?」
「わたしの気のせいならいいのです」
「え?」
「いえ、レルナー公爵令嬢様のそのお美しいお顔が、かなしみに沈んでいらしたように見えたので」
「な、な、な……」
顔を赤くして口をパクパクしているツェツィーリアを前に、「ななな?」とルカは不思議そうに首を傾けた。その仕草はどことなくリーゼロッテに似ている。
「ツェツィーよ。親しい者はそう呼ぶわ。わたしもルカと呼ぶからそれでいいでしょう?」
「光栄です、ツェツィー様」
天使の笑みを向けてくるルカに、ツェツィーリアはぶっきら棒に問うた。
「ルカはどうしてこんなところにいるのよ?」
「今日、姉の茶会が開かれると聞いて、内緒で参加しようと公爵家にお邪魔いたしました。もちろん義兄上の許可はいただいております」
「それがどうしてこんなところを歩いていたの?」
「このお屋敷を探検しておりましたところ、たまたまここを通りがかりまして」
「……要するに迷ったのね?」
ツェツィーリアが胡乱気に問うと、ルカは朗らかな笑顔を返した。
「はは、お恥ずかしい話です。ですが、おかげでこんなにもお美しい人に出会うことができました」
真剣に見つめられて、ツェツィーリアは動揺のあまり、ルカから距離を取ろうとした。転びそうになった所を、ルカに抱き留められる。