寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
「旦那様。少しはご自由に歩かせて差し上げては」
マテアスの言葉にジークヴァルトが不服そうな顔を返してくる。寒さに頬を赤く染めたリーゼロッテが、伺うようにジークヴァルトの顔を見上げた。
「わたくし転んだりしませんわ」
手袋をはめた小さな手が、ジークヴァルトの指をきゅっと握り返す。耳当て付きのファーの帽子の頭を、リーゼロッテは可愛らしく傾けた。
「ヴァルト様……わたくし、一度でいいから、雪遊びをしてみたかったのです」
純真無垢な瞳を向けられて、ジークヴァルトは眉間にしわを寄せた。一拍置いてから、その手を緩めてリーゼロッテを解放する。うれしそうにリーゼロッテは新雪が積もる庭へと足を踏み入れた。その姿をハラハラした様子でジークヴァルトは目で追っている。
リーゼロッテはかがみこんで、一掴みの雪を両手に取った。それをぎゅっと握り込んでいく。
「ふふ、雪合戦ですわ」
リーゼロッテは可愛らしく微笑むと、丸めた雪玉をえいとジークヴァルトに向かって投げようとした。だが、その塊はリーゼロッテの目の前で、ふわっと崩れて舞い落ちた。
こてん、と首をかしげると、リーゼロッテは再び雪を手にすくい上げた。先ほどより念入りに、小さな手のひらの中で雪玉を固めていく。
「今度こそ、えい、ですわっ」
小さく振りかぶって投げられた雪玉は、先ほどと同じように空中で弾けてしまった。そのほとんどがリーゼロッテの頭上に降り注いでいく。
「雪がさらさら過ぎなんだわ……」
リーゼロッテは絶望した様子でつぶやいた。どれだけ強く丸めても、雪玉は結局崩れてしまう。唇をふるふると震わせて、今にも泣きだしそうになっている。
「雪を投げてみたいのか?」
理解はできないが何とかしてやりたいと思ったのだろう。ジークヴァルトは少々困惑したように、リーゼロッテに問いかけた。
マテアスの言葉にジークヴァルトが不服そうな顔を返してくる。寒さに頬を赤く染めたリーゼロッテが、伺うようにジークヴァルトの顔を見上げた。
「わたくし転んだりしませんわ」
手袋をはめた小さな手が、ジークヴァルトの指をきゅっと握り返す。耳当て付きのファーの帽子の頭を、リーゼロッテは可愛らしく傾けた。
「ヴァルト様……わたくし、一度でいいから、雪遊びをしてみたかったのです」
純真無垢な瞳を向けられて、ジークヴァルトは眉間にしわを寄せた。一拍置いてから、その手を緩めてリーゼロッテを解放する。うれしそうにリーゼロッテは新雪が積もる庭へと足を踏み入れた。その姿をハラハラした様子でジークヴァルトは目で追っている。
リーゼロッテはかがみこんで、一掴みの雪を両手に取った。それをぎゅっと握り込んでいく。
「ふふ、雪合戦ですわ」
リーゼロッテは可愛らしく微笑むと、丸めた雪玉をえいとジークヴァルトに向かって投げようとした。だが、その塊はリーゼロッテの目の前で、ふわっと崩れて舞い落ちた。
こてん、と首をかしげると、リーゼロッテは再び雪を手にすくい上げた。先ほどより念入りに、小さな手のひらの中で雪玉を固めていく。
「今度こそ、えい、ですわっ」
小さく振りかぶって投げられた雪玉は、先ほどと同じように空中で弾けてしまった。そのほとんどがリーゼロッテの頭上に降り注いでいく。
「雪がさらさら過ぎなんだわ……」
リーゼロッテは絶望した様子でつぶやいた。どれだけ強く丸めても、雪玉は結局崩れてしまう。唇をふるふると震わせて、今にも泣きだしそうになっている。
「雪を投げてみたいのか?」
理解はできないが何とかしてやりたいと思ったのだろう。ジークヴァルトは少々困惑したように、リーゼロッテに問いかけた。