寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
一番奥まった本棚の隙間を通り、さらに奥へと進んでいく。小柄なリーゼロッテは難なく通れるが、ジークヴァルトはほぼカニ歩き状態だ。ジークヴァルトが手をかざすと、ところどころに飾られていた守り石に青く光が灯った。幾分かは周りが見渡しやすくなる。
「ここだ」
立ち止まった本棚で指を滑らせる。背表紙を確認しながら、ジークヴァルトは一冊の本を引き抜いた。
「オレがいくつか簡単そうな書物を選ぶ。お前も気になった物を探すといい」
頷いて目の前に並ぶ本に目を向ける。そのほとんどが古びていて、文字も難解で読むことができない。それでも何とか判読できそうな一冊を手に取って、ぺらぺらとページをめくってみた。ミミズがのたうつような文字列に、リーゼロッテはそれをぱたりと閉じて、そのままそっと本棚に戻した。
(これ、どれも無理ゲーなやつだわ)
書かれた文字はおそらく古語というものだろう。辞典があったとしても理解できるかどうか、そんな感じの難解度だ。
(ここまで手間かけさせて、やっぱり読めませんなんて言えないわ)
何とか一冊でも読めそうなものをと、リーゼロッテは上段の左端から順に視線を移動させた。しかしどれもが判読不能で、ただいたずらに目が滑っていく。
そんな中、ジークヴァルトの立つさらに向こうにあった、一冊の本がふと目に入った。不思議と目が惹きつけられる。薄暗い本棚の中で、まるでその本が自分を呼んでいるようだ。
「ヴァルト様、あちらの本が……」
「どれだ?」
「上の方にある、あの光って見える本ですわ」
「光って?」
指さす方へとジークヴァルトが手を伸ばした。
「これか?」
「いえ、もっと上の、その右、いえ、もう少し左ですわ」
「ここだ」
立ち止まった本棚で指を滑らせる。背表紙を確認しながら、ジークヴァルトは一冊の本を引き抜いた。
「オレがいくつか簡単そうな書物を選ぶ。お前も気になった物を探すといい」
頷いて目の前に並ぶ本に目を向ける。そのほとんどが古びていて、文字も難解で読むことができない。それでも何とか判読できそうな一冊を手に取って、ぺらぺらとページをめくってみた。ミミズがのたうつような文字列に、リーゼロッテはそれをぱたりと閉じて、そのままそっと本棚に戻した。
(これ、どれも無理ゲーなやつだわ)
書かれた文字はおそらく古語というものだろう。辞典があったとしても理解できるかどうか、そんな感じの難解度だ。
(ここまで手間かけさせて、やっぱり読めませんなんて言えないわ)
何とか一冊でも読めそうなものをと、リーゼロッテは上段の左端から順に視線を移動させた。しかしどれもが判読不能で、ただいたずらに目が滑っていく。
そんな中、ジークヴァルトの立つさらに向こうにあった、一冊の本がふと目に入った。不思議と目が惹きつけられる。薄暗い本棚の中で、まるでその本が自分を呼んでいるようだ。
「ヴァルト様、あちらの本が……」
「どれだ?」
「上の方にある、あの光って見える本ですわ」
「光って?」
指さす方へとジークヴァルトが手を伸ばした。
「これか?」
「いえ、もっと上の、その右、いえ、もう少し左ですわ」