寡黙な公爵と託宣の涙 -龍の託宣3-
あの事故は王子の守護者の怒りを買ってしまったからだ。あんなイレギュラーな事態が、日常で起こるはずもない。
「いい、オレが抱く」
「ふほぁっ」
いきなり子供抱きに抱え上げられて、油断していたリーゼロッテの口から思わず奇声が漏れた。この扱いはツェツィーリアに対するものと変わらない。成人した身としては、なんだかやるせない気持ちになってくる。
「届くか?」
耳元で言われ、本棚に視線を戻す。目線の少し上に、その本はあった。
「きのこが……きのこが生えてますわ」
光って見えたのは、その本からにょっきりと生えたきのこだった。漫画に出てくるような笠の開いた美しいフォルムのきのこは、青銀色の輝きを放っている。
「きのこ? ヒカリダケか?」
魅入られたまま手を伸ばす。その本を引き抜くと、生えていたきのこはすっと吸い込まれるように消えてしまった。
「あっ! きのこが消えてしまいましたわ」
手に取ったのはくすんだ表紙の赤い本だった。表題も何も書かれていない。首をかしげたままそれを手に、リーゼロッテはマテアスの待つ書庫へと戻っていった。
「いい、オレが抱く」
「ふほぁっ」
いきなり子供抱きに抱え上げられて、油断していたリーゼロッテの口から思わず奇声が漏れた。この扱いはツェツィーリアに対するものと変わらない。成人した身としては、なんだかやるせない気持ちになってくる。
「届くか?」
耳元で言われ、本棚に視線を戻す。目線の少し上に、その本はあった。
「きのこが……きのこが生えてますわ」
光って見えたのは、その本からにょっきりと生えたきのこだった。漫画に出てくるような笠の開いた美しいフォルムのきのこは、青銀色の輝きを放っている。
「きのこ? ヒカリダケか?」
魅入られたまま手を伸ばす。その本を引き抜くと、生えていたきのこはすっと吸い込まれるように消えてしまった。
「あっ! きのこが消えてしまいましたわ」
手に取ったのはくすんだ表紙の赤い本だった。表題も何も書かれていない。首をかしげたままそれを手に、リーゼロッテはマテアスの待つ書庫へと戻っていった。