野いちご源氏物語 三九 御法(みのり)
お心がぼんやりしたまま、女房(にょうぼう)たちとゆるゆるお過ごしになる。
その女房たちも仏像(ぶつぞう)のあるお部屋にはあまりたくさんは入れず、静かにお(きょう)をお読みになるの。
「永遠に一緒にいましょう」とお約束なさったけれど、寿命(じゅみょう)は必ずあってお(くや)しい。
来世(らいせ)(むらさき)(うえ)と再会できることをひたすら祈っておられる。

世間体(せけんてい)を気にしてまだご出家(しゅっけ)はなさっていない。
法要(ほうよう)の指示もお出しになれないご様子なので、大将(たいしょう)様がすべて取り仕切っていらっしゃる。
<今日にも死ぬのではないか>と覚悟なさる日も多いわ。
でも思うようにそのときは来ない。
ただ月日だけが流れていく。
< 20 / 21 >

この作品をシェア

pagetop