すれ違いだらけの婚約関係は、3年越しのファーストキスでやり直しましょう ~御曹司の婚約者が嫉妬深いなんて聞いてません!!~

「なあ、誰に泣かされたんだ?」


 壁際に追い込まれた私__花井 桃華は、ひたすらにぷるぷると震えていた。
 目の前には、怒ったように目を細める婚約者。

 彼は私に興味がない、、はずだった。


(も、もしかして…とんでもない勘違いをしていたの…?)

「ハッ、無視か。それとも、俺に言えない相手か?」


 噛み付くような深いキス。一瞬何が起こったのか分からないまま、ただただ貪り喰われる。漏れた息と怪しく光る瞳に、ゾクリとした。

「ぁ、待って、」
「今まで十分待った」

 熱を帯びた視線に、体が縫い止められる。


  なんで、どうして、


 すっかり涙が引っ込んだ私は、これまでの経緯を思い出す。

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