【コンテスト用短編作品】すれ違いだらけの婚約関係は、3年越しのファーストキスでやり直しましょう ~御曹司である婚約者が嫉妬深いなんて聞いてません!!~
コンコンコン
「た、高見さん。あの、ほんの少しだけお時間をいただけませんか」
震える声で、扉越しに声をかける。
彼が自室にいる確証なんてないが、家のどこにもいないのだから、しょうがない。
しばらく返事がない。
もしかしたら不在なのかもしれない、と思った時、ガチャリと鍵が開く音がした。そして、薄く扉が開けられる。
「…なんだ」
「突然すみません。今、お時間大丈夫ですか?」
そう言うと、驚いたように目を瞬く高見さん。それから少し考えるように黙り、小さく口を開いた。
「……10分後にリビングで。それならいい」
「ありがとうございます。お願いします」
そう言った瞬間、バタンと素早く扉が閉められた。
何かの作業中だったのかもしれない。申し訳ないことをした。
そんなことを思いながら、私はふらふらとリビングに向かった。