すれ違いだらけの婚約関係は、3年越しのファーストキスでやり直しましょう ~御曹司の婚約者が嫉妬深いなんて聞いてません!!~
すれ違いの果て

 目が覚めると同時に、二日酔いとは違う酷い頭痛を感じた。そして、重すぎる瞼。
 昨日泣き腫らした弊害がありありと出ていた。

「ったー…アルコールと号泣のダブルパンチ…」

 水を飲みに行こうと自室を出かけて、ふと思い出す。

 あれ、私、昨日高見さんに何を言った、っけ、


(ハァッッッッ!!! 終わった。完全に終わった。あまりにも無礼すぎる)


 綺麗に覚えているため、全身の血の気が引くのを感じる。これなら、いっそのこと覚えていない方が良かった。

 どうしよう。土下座?いや、私の土下座なんて無価値だ。お金も、高見さんにとってはちっぽけだろうし…。

 部屋の中でうろうろするが、答えなんて出ない。


 とりあえず、謝ろう。それがいいに違いない。

 そのためにも、まずは着替えて化粧をする。化粧は女性を強くする、とはよく言うが、このときばかりは、その言葉の意味がよくわかった。

 化粧をする中、初めて自分の手が震えていることに気がついた。なんだかんだ言っても、怖いものは怖い。

「……何やってるんだか」

 鏡に映る自分の顔が歪むのが、よく見えた。
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