【コンテスト用短編作品】すれ違いだらけの婚約関係は、3年越しのファーストキスでやり直しましょう ~御曹司である婚約者が嫉妬深いなんて聞いてません!!~

 すぐに駆け寄って声をかける。

「高見さん。わざわざすみません」
「別にいい。で、用件はなんだ」

 疲れたような顔をしているところを見るに、仕事中だったのだろう。土曜日にも関わらず、忙しそうだ。
 申し訳ないため、簡潔に事情を伝える。

「昨日のことをしっかり謝りたかったので、こうしてお時間をいただきました。…改めまして、失礼なことをしてしまい、申し訳ありませんでした」
「昨日のこと…?」

 不思議そうに眉を寄せられてしまう。その予想外の表情に、拍子抜けしてしまう。

「え、あの…色々言ってしまいましたよね。酔っていたとはいえ、高見さんに失礼なことを…」

 そこまで言うと、高見さんは理解したのか、ため息をついた。

(ああ、彼の中ではもう終わったことだったのか)

 それをわざわざ時間を割いてまで掘り返した私に、呆れたような反応だ。さらに自己嫌悪に苛まれる。

「……本当に申し訳ありませんでした」
「謝らなくていい。俺も、ちょうど件について話したいと思っていたところだ」

 彼は私の横を通り過ぎ、ソファーに腰かけた。そして、私に向けて手招きした。
 何を言われるのか分からず、怖いが断ることもできない。

 恐る恐る隣に座ると、高見さんは私を見下ろしてきた。その目は、何か言いたげだ。

 しかし、部屋に満ちるのは静寂。話の切り出し方が分からないまま、ただただ時間が過ぎようとしていた。


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