【コンテスト用短編作品】すれ違いだらけの婚約関係は、3年越しのファーストキスでやり直しましょう ~御曹司である婚約者が嫉妬深いなんて聞いてません!!~
「私のこと、邪魔じゃないんですか?」
零れ落ちた言葉に、高見さんはパッと顔を上げた。
その目は、不安げに揺れている。いつもの高見さんとは、似ても似つかない姿だ。
「…俺がそう言ったのか?」
「違います!ただ……ずっと、そう思っていたんです。私は高見さんの邪魔になっているんじゃないかって」
そう言うと、彼は辛そうに顔を歪めた。そんな表情を見たのは、初めてだった。
それから大きくため息を吐くと、彼は頭を抱えてしまった。
「ぁ゛〜…クソ。そんなことを思わせていた自分に腹が立つ」
「ごめんなさい…」
「君が謝ることではない。ただ、自分の不甲斐なさを許せないだけなんだ。何だって、婚約者をこんなにも不安にさせてるんだ…」
高見さんは私に向き直ると、頭を下げてきた。
「本当にすまない。許してくれないか」
「えぇ!?ちょ、やめてください!頭を上げてください!」
慌てて顔を上げさせる。その顔は、まだ悔しそうに歪んでいた。
そんなに気にしないで欲しいのに…。どうすればいいのだろうか。
「……私の方こそ、ごめんなさい。誤解して、高見さんのことを避けていました」
「そんなの気にしてない。俺の方が、」
煮えきれない様子の高見さんの言葉を遮った。
それから、2人で自分の方が悪いと謝り続けてしまう。
こうしていても仕方ないため、意を決して、ある提案を持ちかけてみる。
「これで両成敗にしませんか?そして、遅くはなりましたが、ここからもう一度始めてみませんか?」
「……いい、のか?」
「いいも何も、私はそうしたいです。高見さんはどう思いますか?」
「…やり直したい」
「なら、よろしくお願いします」
この時、私は初めて高見さんに笑顔を向けることができた気がした。