国民的アイドルが現実世界も異世界でもILoveYou!
ラブ×5~バラ園の道を抜け出して~
おばあちゃんの家で私が見ていたテレビできらきらの物を見たの。輝いて笑って歌う人たちの姿を
「おばあちゃん!あの人たちはなんて言うの?」
「あれかい?あの人たちはアイドルをやっている人だよ。」
「アイドル…!!」
おもちゃ屋さんに行った時、玩具のマイク買ってと困らせたり、おばあちゃんのフリフリの服を着て「アイドル」みたいだとはしゃいだ。5歳の時おばあちゃんと都会を歩いていた。
「あの、すみません!」
「はい?なんでしょうか!」
「あの私葉月ハレンと申します。私はハレンプロダクション芸能事務所の者です。」
ハレン社長に出会い、子役をやってみないかと言われて、あの時憧れた芸能事務所というものに入ったのだ。私は子役の才能があったみたいで、オーディションを受けたらすぐにドラマの出演が決まったりした。ハレン社長に将来アイドルになりたいのだと言ったら、アイドルレッスンもやらせてくれたりと事務所には恵まれた。
子供ながら成功していると思っていた、おばあちゃんも喜んでくれていたし。今思えば初めてお金を稼げて、おばあちゃんの恩返しも出来たし。。嬉しかった反面で良い意味でも悪い意味でも人を観て来たのだ。
14歳くらいの時に、ハレン社長の発端でColoRuNeAが結成された。私も念願のアイドルグループ加わることができた。でも私は目立ち過ぎたのか、チヤホヤされもしたけど、虐められることもあった。誘拐されたこともストーカーもあったかな。
もう心が折れそうになった時、あるファンレターの手紙が届いたのだ。宛先が雨で濡れたのか掠れて消えてたけど「夢ちゃんのおかげで頑張る勇気を貰いました。ありがとう。」とこの言葉に私は救われた。
子役のときは大人たちに夢ちゃんと呼ばれていた。好きでアイドルになったのに、何のためにアイドルや芸能人になったのかを彷徨っていたのをこの人が教えてくれた。
私は誰かのためになれているんだと、私もアイドルとして一人でもこの人のようになっているなら頑張らなくてはいけないと私は必死にレッスンも影の努力も頑張ったら。いつの間にかColoRuNeAのセンターを勝ち取っていた。
初めてセンターで歌った時、私のイメージカラーである薄紫がステージに染まってて、そこから私はその虜になってしまった。私はやっと認められたんだと、初めてやった筋トレは体が痛い、喉枯れるまで居残りの歌レッスンをやって、あの光景はもう何も変え難いものだった。
それでもそして来栖さんの前のマネージャーは酷く、疲労がヤバくて公園で休んでいた時にピロンとスマホの画面が光った。
「異世界ホルメンへ行きますか?なんよ、これ。」
私はなにかに縋りたかったのかYESを押してしまったら、映画で出演した時に見たレトロの電車の中だった。そしたらいきなり『ホルメンへようこそ!ログインIDを決めて入力してください。』と表記されていて
「ログイン?まるでゲームみたいね、やったことはないけど」
ログインIDを入力したら、またスマホの通知が鳴り『次からこのようにするとホルメンへ自分からいけるようになります。』と電車が止まってドアが開くと
「なにこれ、何も無いじゃない。」
駅のホームはなく、空の上に電車があるようでホルメンと書かれているだけ。
「この矢印もしかして飛び降りろってこと?」
ま、なんとかなるだろうと飛び込んで急降下して行くと雲が現れて、その中に飛びこむとさっきまで私服だったのにゴスロリのような服で角や翼としっぽ!?
「コスプレみたい。」
『こちらでアバターは決めさせて貰いました!プレイヤーの名前を決めて入力してください!』
「名前か。」
映画のキャストで吹き替えの時にやったキャラクターが小悪魔みたいな性格だったからドレイン・フランダにした。『ドレイン・フランダ。ログイン完了』と表示された時、ふわっと今まで囲まれていたモヤが晴れた。
「…ヨーロッパみたいな街並みね」
人とは違った耳の形や動物が擬人化した者たちがわいわいと賑わっていた。ピロンと現れたのはステータスと書かれたもの。
『ドレイン・フランダ。Lv1。魔法スキル 闇魔法、光魔法。魔法は魔法書を読んだり、練習したりすると取得ができる」
「魔法が使えるなんてますますゲームみたいね。魔法書は魔法図書館があるのね、後で行ってみようかな!Lvやスキルは森などに出現する魔物倒したり、ダンジョンをこうりゃくしたりすると上がるのね。」
とはいえ。まずは何をするのがいいのかしら…ゲームやったことある人ならわかるかもしれないけど…
「ギルド登録をすると倒した魔物の素材を売ったり、解体を頼めるのね。商業ギルドはお店を開いたり、屋台をやるのに必要。どちらも得ること可能。」
新しい事への挑戦はやはり楽しい。初めてのダンスレッスンや歌のレッスンも楽しかった、魔法とかも頑張れば取得できるという設定めっちゃ好き。
「でもせっかくならホルメンの世界でしか出来ないことがしたいわね!」
冒険者ギルドと商業ギルドに登録した。魔物倒すことは必須そうみたいだし、まだ何をやるかまで決めてないけどお店や屋台をやるの新鮮で楽しそうだから。
「ていうか、今気づいたけどLoveゲージってなに?」
変なゲージがずっとあるんだけど…今は80%になっている。
『特定の人に無条件の愛情を貰えるとゲージが回復します。』
「意味わからないわ。」
魔法図書館で高い場所の本を取ろうとしたら手が滑り本が落ちそうになった時
「あぶない!?」
誰かが助けてくれたみたいだけど。この声は男の人…
「大丈夫?」
とりあえず助けてくれたんだから上を向かなきゃと見たら、オレンジのローブが似合う魔法使いさんだった。
「あ、あの。助けてくれてありがとう。」
「ううん、君が無事でよかったよ!」
ほわっと光が纏うような笑顔…この人が優しい人だと言うことはわかった。
「あ、君の人差し指切り傷になっちゃってるね?」
「本当だ。でも大したことないないわ」
こんな切り傷痛くないし。
「ダメだよ、女の子が怪我を放っておいちゃ!これ傷薬あげるからさ!あ、自己紹介まだだったね、僕はクルリ・ロウバン!」
「…私はドレイン・フランダ。」
80%→85%にLoveゲージと呼ばれるゲージが上がった。どういうこと?
「じゃ、またどこかで!」
最初から最後まで無垢な人だった、ロウバンさんからもらった傷薬は沁みることもなく綺麗に治った。
「ああいう人もいるんだな。」
わかってる、私が人の縁に運がないだけ。私が魔法書で取得したのは闇魔法関連の攻撃系統魔法と光魔法関連回復魔法、人によって魔法ストレージが違うらしく、私は高めらしい。
相変わらず、Loveゲージのことは分からずだった。
少しずつ魔物を倒して、ギルドレベルもEからCランクに上がったり。Lv1からLv45まで上がって、魔法も徐々に取得して、錬金術を覚えたりと現実と行き来しながら楽しいホルメン生活を送っていた。
この時のLoveゲージは45%しかなくて、少しふらつくものの動けないわけじゃないから錬金術で金属とかを加工したり、作りたいものを形成した。
「よし、金属の加工完了!」
私本島はハンドメイドが好きでアイドルや学校もあって出来てなかったんだけど、お店立ち上げてやりたいと思い、自分の名前から取りタカナシという服と小物や雑貨を売るお店を始めた。
「いらっしゃいませ!」
お客さんの笑顔を見るのはとても楽しい、でもLoveゲージは増えないのは何でなのだろう。
ぐらぐらと歪みそうな時にあの宛先が雨で消えてたけど「夢ちゃんのおかげで頑張る勇気を貰いました。ありがとう。」とあのファンレターを思い出して頑張らないと思うと
「あれ、さっきまで20%だったのに45%になってる。確かに体少し軽くなったな。」
アイドルの仕事を終えたあとにホルメンに来ると50%未満が多い。ただ一日何ともない日は70%くらいあり、今日はホルメンにログインした時のLoveゲージ60%くらいで大丈夫だろうと思ったのだ。
「今日はイエローバードの羽毛やアーゴダイルの皮がほしいな。」
そう思い立ちサウリンの森で素材散策していたら、ロウバンさんがベアハンド魔物から子供を助けているところに遭遇した。魔物が襲おう体制に入ったのを観た。
「ダークバインド!」
この前の魔法図書館の時を思い出して、ロウバンさんは本物の優しさなんだなと思いながら闇魔法で魔物の行動を塞いだ。
「ドレインさん!?」
ロウバンさんと子供の前に立つ。
「大丈夫ですか。ダークホール」
魔法で闇の穴へと落とした。これでベアハンドをじわじわと倒してくれるのよ。
「あの…お姉ちゃんありがとう。」
この子の気持ちはとても嬉しいのにLoveゲージは上がらない…自己嫌悪が襲う。私は誰かに感謝されたり、お客さんたちに喜ばれることが嬉しいはずなのに私はなんて薄情なのだろうか。
「どういたしまして!」
サウリンの森を抜けて子供を街へ送り届けた。さっきまで60%まであったのに、なぜか真っ黒の0%。
「さっきは助かったよ…って!ドレインさん!?」
Loveゲージは多分現実世界で疲労なのか精神なのかはわからないけど消費した分量…魔力はまだ残っているのに、近くにある壁に寄っかかる。
「…あ、ごめん。大丈夫だから。」
まるで貧血みたいだ。目まぐるしい渦に弾かれたように耐えられず路上でしゃがみこんでしまった。かっこわる。
「大丈夫って辛そうじゃん。熱は?なさそう。外傷もなさそうだ。」
Loveゲージのことを知らない、ロウバンさんは私のこと心配してくれたり、額を触ったりと
「放ってくれていいんだよ。」
「何言ってるの、放って行くなんてそんなことする訳ないよ!君の家はどこ?」
体が急に宙へ浮いたと思ったら、これはもしかして…お姫様抱っこ。
「あの、下ろしてください。」
「ダメ!」
こんなのドラマの役でしかやったことないのに!?私はお店の場所を伝えて、ロウバンさんは私を抱えて行くのだった。
「このお店?がドレインさんの家でいいのかな?」
「うん。」
「ドレインさんには悪いけど勝手に入るよ?」
きっと拒否権ないだろうからと思い鍵をロウバンさんに渡す。玄関を開けて部屋の近くにある椅子に私を座らせてくれた。
「運んでくれてありがとう。もう帰っていいよ。」
「こういうのは素直に甘えてしまった方が早いよ!」
小型コンロやティーポットなどが魔法バッグから出てきてどうやらお湯を沸かしているみたいで、コポコポと注がれるお湯の湯気から華やかな香りと茶葉の香りが部屋に広がる。
「はい、よかったら飲んで!今朝薬草園で詰んだ乾燥させたジャスミンティーにしたんだ!」
ジャスミンティーを飲むと花の香りのおかげなのか、10%→50%まで戻った。
「おいしい。」
「顔色も戻ったみたいだね!よかった!ね、ここもしかして雑貨屋さんかな?」
「うん、そう。ダンジョンとかで出現した魔物の素材で服とか小物を作って売ってるの。」
「凄いね!どれも綺麗に仕上がっているし!」
「ロウバンさん。今日は本当にありがとう。」
「ロウバンじゃなくて、クルリって呼んでよ!そっちの方が馴染んでるんだ!」
クルリに今まで固めていた壁を壊されてたのか、ジャスミンティーの温かさと香りのせいか。
「ドレインさん!?」
クルリが驚いているし、これ以上迷惑かけたくなのに。
「見ないで。」
なんで私はこんなぽろぽろと泣いているのかしら。あんなに私は男の人や他人に怯えていたのに。こんな単純な自分がよく分からないし、情けないところ見られたくないのに…
「なんともないのに。なんでとまらないの。」
「よしよし。なんともないと思っている内に限界が来ちゃったんだね。僕もなんともないと思っている内に閉じこもってたな。」
こんな優しいクルリが…そうか、クルリもプレイヤーで現実世界で傷ついて…辛くて。ホルメンへ来たのかもしれない。その影落ちる姿がなんだか痛々しくて、私の目頭に溜まる涙が大きく零れた。
「あれ!?さらに泣いちゃった!ごめんね!?」
「クルリのせいじゃないわ。」
「もしかして僕のために泣いてくれてるの?ドレインは優しいんだね。」
「私は優しくないわよ。もう…」
優しいのはどっちなのよ。泣くつもりなんてなかったのに、こんなボロ泣きするなんて思わなかったわ。
「僕が泣かせちゃった責任持って、ちゃんと泣き止むまでいるから。」
50%→100%になった時、かかっていた魔法が溶かれたみたいに周りが真っ暗になって。ふわっと何かが浮上して目が覚めて、見覚えたと思ったら自室の天井だった。
「え、なんで?」
自分の顔を鏡見ると微かに目が赤くなってて。
「でも幸せだったな。」
これがクルリと出会って、私がアイドルのセンターを3年間突っ走って来れ、来栖さんに出逢い。今まで足元がグラグラでやっと私はちゃんと私の足で立てるのだ私はもっと上を目指すんだと、私は仕事に行くために家を飛び出た。