貴女だけが、私を愚かな男にした 〜硬派な彼の秘めた熱情〜


 ちょうど受け取ったメッセージの文面と差出人を見て、詩乃は心臓がぴょんと跳ね上がる感じがした。

「24日の夜、食事に行きませんか」

 明人からだ。突然の、珍しいお誘い。

「24日って……!」

 どうしよう! と、思わず口元を覆いたくなってしまう。

 クリスマスイブ。一年で一番、恋人同士のロマンチックなムードが高まる日だ。

 こんなタイミングでの食事のお誘いなんて、もうお付き合いしたいですといわれているようなものだ。

 なんなら、この夜に告白されてしまうのかも……!

「いやいやいやちょっと先走りすぎっ」

 暴走し始めた気持ちを制して、詩乃は返信を打ち込んだ。

「行こ行こ! なに食べたい?」

「フレンチやイタリアンなど、洋食を希望します。自分ではあまりしない味付けなので」

 返事は、すぐ返ってきた。

 いつも以上に堅い感じの文面が、却って可愛らしく感じる。

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