貴女だけが、私を愚かな男にした 〜硬派な彼の秘めた熱情〜


「当然、詩乃さんのご希望に合わせます。いかがですか」

 続けて、メッセージが送られてきた。

 少し考えて、詩乃も返信を打ち込む。

「イタリアンがいいなぁ。でも高級なところはあんまり。隠れ家っぽい感じのお店とか、知ってる?」

 高級な店が、嫌いなわけではない。

 だがお高い店といえば、どうしても前職で会食に利用していたイメージがついてきてしまう。

 会食がそれほど苦痛だったわけでもないのだが、せっかくの明人とのディナーだ。

 あまり、余計なことを思い出したくない。

 なにより、洗練された高級店よりは、親しみのある隠れ家レストランの方が好みだ。

「いくつか心当たりがあります。こちらで手配してよろしいですか」

 返ってきたメッセージに、詩乃は即座に返信する。

「うん! ありがとう! プレゼントも持って行くね」

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