貴女だけが、私を愚かな男にした 〜硬派な彼の秘めた熱情〜


 うきうきと、心が浮き立ってくる。

 明人への贈り物、何にしよう。詩乃の頭に、たくさんの候補が浮かんだ。

 小説の執筆に役立つアイテムでもいいし、実用的な調理器具もよさそうだ。

 気の利いた複数の品物を贈ってもいいだろうし、高級品を一点というのもいい。

 ああでも、明人のことだから、お洒落さや有名ブランドものではなくて、実用性に優れたものが良いに違いない。

 見た目やデザインのスタイリッシュさではなくて、機能美に溢れた品物を気に入ってくれるはずだ。

 詩乃があれこれ想像を巡らせている間に、ワンテンポ遅れて明人からの返事が届いた。

「私も何か持参します」

 この日がクリスマスイブであることには、何も触れられていない。

 スマートフォンを握りしめたまま、詩乃はぐるぐると考えを巡らせていた。

 クリスマスイブのお誘いだからてっきり、なにかロマンチックな出来事があるのかと勘繰ってしまう。


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