貴女だけが、私を愚かな男にした 〜硬派な彼の秘めた熱情〜
ディナータイム
クリスマスイブ当日。
明人が予約したのは、居心地のよいイタリアンレストランだった。
「可愛い! 素敵なお店だね」
間接照明の灯りがロマンチックな店内には、クリスマスの飾りがあちこちでキラキラしている。
小さなツリー、サンタクロースとスノーマンのオーナメント、ころんとした形のキャンドルなど。
暖かみのある飾りつけが、可愛らしい店内を細やかに彩っていた。
広い店内はお客でいっぱいで、うるさくない程度の賑やかさが心地良い。
着飾ったカップルも、普段着の家族連れも、長年連れ添った風情の夫婦も、みんな楽しげだ。
「たまに来るんです。とても美味しいですよ。たぶん、詩乃さんのお口に合うと思います」
「そうなんだ。楽しみだな〜」
詩乃はふかふかしたソファーの席につきながら、今夜の明人のいでたちを眺めた。
ブルーのストライプシャツに、ネイビーのセットアップのジャケットとスラックス。
普段と同系統ではあるが、いつもよりは華やかな印象だ。
少しタイトで、シルエットが美しいセットアップのおかげだろうか。