貴女だけが、私を愚かな男にした 〜硬派な彼の秘めた熱情〜

「わー! シャワーも浴びてないのにー!」

 昨日の記憶が次々と蘇ってくるのが、甘くも苦しい。

 抱かれている最中は夢中になってしまったが、我に返ると恥ずかしいことこの上ない。

「疲れてしまったんでしょう。無理もありません」

 明人は平然としている。

 恥ずかしいやら、嬉しいやら、むしろ情緒の方が忙しくてわたわたしてしまった。

 慌てて水分補給をし、シャワーを浴び、暖かい服に着替え、リビングに戻る。

 既に、明人は朝食を作ってくれていた。

「簡単なものですが」

 カリカリに焼いたベーコンと、キレイな半熟の目玉焼き。玉ねぎのコンソメスープに、焼きたてのトーストとコーヒー。

「わ。美味しそう! ありがとうね」

 詩乃が出てきたときには、もうテーブルの上に所狭しと皿が並んでいた。

「いただきまーす」
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