貴女だけが、私を愚かな男にした 〜硬派な彼の秘めた熱情〜

「最初は、賃貸にしますか。詩乃さんの職場の近くで探しましょう」

 詩乃の頭の中に、これから二人で暮らす家のイメージが浮かんだ。

 広いキッチンに、食器も調理器具もたくさん並べよう。

 明人のために、書斎兼仕事部屋は絶対に必要だ。

 これからは仕事から帰れば、家で執筆していた明人が出迎えてくれるのだ。

「ずっと、一緒にいられるんだね」

「ええ」

 優しい眼差しを向けてくれる明人の微笑みが、眩しい。

 明日も。明後日も。その先もずっと。

 もう、離れ離れになることはない。

 これからずっと、明人は詩乃のために料理を作ってくれる。

 もちろん、詩乃も明人に教わって料理がもっと上手になるのだろう。

 一緒に眠って、一緒に起きて、同じ屋根の下で暮らすのだ。

 その事実がなぜか、すんなりと実感として感じられた。
 
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