貴女だけが、私を愚かな男にした 〜硬派な彼の秘めた熱情〜
男同士の家飲み
「来てやったぞ〜。ありがたがれ〜」
勇悟が、明人の部屋に遠慮なく上がり込む。
いわゆる家飲みだ。外食をあまり好まない明人に合わせて、勇悟はよく彼の家に遊びにきていた。
「はいはい、ありがとうございます」
明人の部屋は、とことん機能的だ。
きちっと整頓されているが、そもそも余分なものは何もない。
「相変わらず、生活感のねえ部屋だな」
リビングの真ん中にある真四角のローテーブルの前にどさりと座りながら、勇悟がぼやく。
1LDKだがキッチンは広く、綺麗に手入れされた調理器具がぴしっと収納されている。
最低限のモノしか置いていない部屋に、本棚だけはぎっしりと本が詰まっていた。
「で、どうよ。最近は」
さっそく缶ビールを開けながら、勇悟が話を向ける。
「晴れた日が続いていますね」
「うんうん、気持ちのいい気候で……ってドアホ!」
ビールの泡を飛ばしそうな勢いで、勇悟がツッコミを入れる。
「どうよつったら、あのことに決まってんだろ。例の彼女。お礼したか?」
「ああ」
明人は、表情を変えずに頷いた。
「お宅にお邪魔して、料理を振る舞いました」
「おじゃ……」
勇悟は、今度こそ泡を吹き飛ばした。
「えぇ!? お前が!? 女の子の!? 家に!?」
「うるさいですね」
明人は迷惑そうに言うが、目は笑っている。