ここまでコケにされたのだから、そろそろ反撃しても許されますわよね?
「やっぱりアンドレア様は、あのときエドガー様の元に嫁ぐべきでしたのに……」
「いまさらそれを言っても仕方ないわ」
「ですが! エドガー様ならアンドレア様を絶対に幸せにしてくださったはずです!」
「エドガーとだって政略結婚だったのよ? どうしてそう言い切れるのよ」
「そんなの見ていれば分かりますっ」

 力説するマリーにアンドレアは首を傾げた。
 元婚約者のエドガーは、いつも飄々として何を考えているかいまいち掴めない男だった。
 彼も幼馴染で、確かに幼いころからの仲ではあった。だがそれほどアンドレアを慕っていたようには思えない。

「どのみちエドガーは今はライラの婚約者だし……お父様はそこら辺のことはどう処理するつもりなのかしら?」

 ポールの愛人と化したライラを、さすがにそのままエドガーに嫁がせるわけにはいかないだろう。
 過去に一度、婚姻直前でアンドレアとの婚約を一方的に反故(ほご)にしたのだ。
 貴族社会では婚約は契約の一種だ。違約金を支払ったとはいえ、二度目の暴挙はケラー家の信用にも関わってくる。

「一度ケラー家に行ったほうがよさそうね」

 ため息交じりに漏らす。
 アンドレアの兄はエドガーの姉を妻に迎え入れている。
 彼女もアンドレアの幼馴染で、本当の姉のように親っている女性だった。

「なんとか時間を作って一度帰ることにするわ。ポールも里帰りじゃ文句も言えないでしょうし」

 行ったところで状況は変えられないだろうが、話を聞いてもらえるだけでもアンドレアの心が救われる。
 どうしてこんなことになってしまったのかと、アンドレアはもう一度ため息をついた。

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