ここまでコケにされたのだから、そろそろ反撃しても許されますわよね?
「あの場にいたのはお主だけではなったであろう? このわしがアンドレアの不遇に気づいておらなかったとでも思うておるのか」
「それは……そもそもアンドレアを娶ったのはケラー侯爵に(そそのか)されたからで……そうです、俺はケラー侯爵に騙されたんだ! 奴をここに呼んでくださいっ、そうすれば俺の潔白が証明されるはず!」

 しかし祖父は、冷徹な国王の態度を崩すことはなかった。
 ポールの主張は自分の判断能力の無さを、自ら認めているだけのことだ。

「話にならぬな。他者の言いなりになると決めたのはお主自身。その責任を負うのはお主以外おらぬであろう」

 ぐうの音も出ず、ポールは悔しさで奥歯を噛みしめた。
 腹に重く響く声で、国王の沙汰が続けて言い渡されていく。

「次に、王太子は本人の希望もあり廃太子とする。その上で、王位継承権放棄の手続きが済み次第、空位となったシュナイダー公爵の地位に就かせることとする」

 王太子の身分を剥奪された伯父が臣下に下って、失脚したポールの代わりにシュナイダー家の家督を継ぐということだ。
 そうすると、ポールの王位継承権は第一位に繰り上がる。
 そこでポールははっとした。

(そうか! お爺様はわたしを王太子とするために、わざわざこんな茶番を仕組まれたのだな!)

 瞳を輝かせ、ポールは祖父の次の言葉を待った。

「そしてポール・シュナイダーには、ズュンデの地にて島民統括の任を課す」
「ズュンデ……?」

 ズュンデとは犯罪者が送られる流刑の島のことだ。
 住んでいるのは罪人ばかり。周辺の海域は鮫の生息地で、逃げ出すことはまず無理な孤島だった。
 期待していた内容とかけ離れ過ぎている。
 意味が分からずに、ポールはぽかんと大口を開けていた。
 そんなポールを取り残して、国王の裁きは続けられていく。

「次の罪人をここへ」
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