ここまでコケにされたのだから、そろそろ反撃しても許されますわよね?
「なまじこのノートの存在を知っている分、あれさえ手元にあればと悔しさも倍増するでしょう?」
「あいつのことだ。それこそアンドレアのせいにしてそうだな」
「いい気味よ。ポールなんて一生他人を逆恨みしながら、苦しみの中で生きて行けばいいんだわ」

 攻撃の対象が自分だけだったら、アンドレアもここまでの反撃は考えなかったことだろう。
 しかしポールは利己欲を満たすために、アンドレアのお腹の子すら標的にした。
 すやすやと眠る我が子に視線を落とす。

「だけど正直もう、ポールのことなんてどうでもいいの。ポールの存在ごと、わたくしの人生からきれいさっぱり消してやるわ。わたくしはこの子だけがいればいい……この子と誰よりも幸せになるの」

 これこそ最高の復讐だ。
 いつまでもつまらない過去に振り回されて、これからの人生を無駄に過ごすなど馬鹿らし過ぎる。
 ポールが恨みつらみの中で野垂れ死のうが、改心して努力の人生を歩もうが、もはやアンドレアには関わりないことだった。

「アンドレア……その幸せに俺も混ぜてくれ……」
「もちろんよ」

 悲壮な顔をしているエドガーに、アンドレアはにっこりと微笑み返した。

「その代わり、この子から笑顔を奪うようなことをしたら、エドガーだって容赦しないから。覚えておいて」
「そんなことはしないとこの名にかけて誓う! ふたりの笑顔は俺の生きがいなんだ! 俺を見捨てないでくれアンドレア……!」

(……また鬱陶しいスイッチが入ってしまったわ)

 縋りつく勢いエドガーに、アンドレアはちょっと面倒くさそうな顔になった。

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