ここまでコケにされたのだから、そろそろ反撃しても許されますわよね?
 頭を抱えるエドガーを見て、アンドレアはくすりと笑みをこぼした。

「冗談に決まっているじゃない。ね、お爺様」
「いや、アンドレア以上に人の上に立つ器を持つ者はおらぬやもしれぬな」

 祖父は国王の顔のまま、真剣に考え込んでいる。

「知識欲、行動力、洞察力、視野の広さに視座の高さ、下の者に慕われる人柄、適材適所の見極め、そして他人を信頼し任せられる度量。どれをとっても抜きん出ておる」

 指折り数えながら、祖父は満足そうに頷いた。
 しかしアンドレアは首をかしげた。
 これまでアンドレアは、自分ひとりの力ではなく、周りに支えられて生きてきたのだから。

「ですがわたくし、シュナイダー家の一件はお爺様のお力添えなくしてはどうにもできませんでしたわ」

 そして、エドガーやエリーゼ、マリーたちの協力も大きかった。
 今こうして穏やかに過ごしていられるのは、多くの者の助けがあったからこそ。
 アンドレアひとりきりでは何ひとつ成し得なかったことだろう。

「そうやって(おご)らぬところもまた(しか)り。己の限界を知り、できぬところは潔く人に頼る。それをするにも信頼できる相手が必要だ。また、人を惹きつける魅力も上に立つ者の条件と言えよう。力になりたいと思う者が後を絶たないカリスマ性を、アンドレアは十分備えておるからな」

 祖父はどこか誇らしげだ。
 大好きな祖父に、そして尊敬する国王に、これまでの努力を認められたように感じてアンドレアもうれしくなった。
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